2016 Fiscal Year Research-status Report
朝鮮における古代道路の歴史地理学的復原に関する基礎的研究(国際共同研究強化)
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15KK0066
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Research Institution | Ritsumeikan Asia Pacific University |
Principal Investigator |
轟 博志 立命館アジア太平洋大学, アジア太平洋学部, 教授 (80435172)
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Project Period (FY) |
2016 – 2018
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Keywords | 新羅 / 五通 / 九州五小京 / 海南通 / 古代道路 / 駅路 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、2017年度の準備段階における一時渡航、18年度における年間渡航に備え、まず受け入れ先となる韓国学中央研究院の教授との協議を重ねた。教授が16年度は京都大学に在外研究中であったため、11月に当該大学で開かれた人文地理学会大会において、次年度以降の協力方針や、人材確保等について協議した。また8月には連携先の一つとなる韓国古道博物館を訪問し、館長とシンポジウム開催など、今後の連携方策について意見交換を行った。 本課題は15年度に終了した同名の基盤Cの成果と密接にリンクするため、本課題の一部として、国際共同研究に向かうための土台作りにも腐心した。基盤Cの最も大きな成果と言える新羅五通の復原案に関しては、6月の歴史地理学会大会にて、概要を発表し、地理学の碩学の方々から、貴重な助言を頂いた。その内容は雑誌『海路』の古代道路特集号にも同時期に寄稿したが、出版社側の事情でいまだ発刊には至っていない。 またこれまでは、主に日本で発行されているジャーナルにて研究成果を発表していたため、韓国における研究成果発信を強化し、ネットワーク構築を推進するため、同じく6月の大韓地理学会の地理学大会にて、中原京に関する発表を行った。また12月の文化歴史地理学会でも発表を行った。これらは2017年以降、韓国の歴史地理関係者との密なネットワークが必要になることから、その土台作りの側面もあわせもつ。 さらに2017年1月に韓国に渡航し、海南通の経路解明に重要な鍵を握ると考えられる慶尚北道高霊郡の大伽耶博物館を訪れ、資料収集と学芸員との意見交換を行った。新羅の金官伽耶攻略後における大伽耶の主対外交通路は、洛東江ではなく河東方面であったことが了解された。 今年度は韓国方面とのネットワーク構築に注力したため、中国方面が今後の課題として残った。2017年度は中国方面とのネットワーク構築を進めてゆく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は「既往の研究成果の整理」「連携のための情報収集」「ネットワーク構築のための交渉」など、主に下準備を目標としてきた。その点においては、充分な成果を収めたと考えている。特に韓国とのネットワーク構築においては、研究代表者が韓国の大学院出身であり、多くの学会活動を行てきた経緯もあり、主に既存のネットワークの再活性化に重点を置くことで、比較的順調に連携関係を組むことができた。 ただし、それは主に地理学の分野であり、本研究課題が目指す学際的なネットワーク構築に関しては、必ずしも完成したとは言いづらい。ただ連携研究者の一人である韓国交通史研究所の趙炳魯京畿大学校名誉教授と面会して、教授が推進されている韓国交通史学会創立について、活発な意見交換を行った。但し上述の通り、中国との連携がまだ緒についた段階であるため、17年度以降この方面を加速させる。
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Strategy for Future Research Activity |
上述の通り中国との橋頭堡構築が必要であるため、夏期休暇においては韓国への渡航と、中国への渡航を併せて行う予定である。韓国への渡航では2018年度の1年間の在外研究計画の最終確定を行い、中国では関連学会に出席し、ネットワークの拡大を図るとともに、基礎的な資料収集を行う。 また、11月に本学で開催されるアジア太平洋研究センター(RCAPS)のシンポジウムで、本課題に関するパネルを設置し、日中韓の各国より、古代交通研究の第一人者を招聘し、研究ネットワークの構築と、意見交換、論点の抽出等を行う。
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[Presentation] 新羅溟州治の立地変動2016
Author(s)
轟博志
Organizer
14th AP Conference
Place of Presentation
立命館アジア太平洋大学
Year and Date
2016-11-06
Int'l Joint Research
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