2018 Fiscal Year Annual Research Report
Basic research on historical geographical restoration of ancient roads in Korea(Fostering Joint International Research)
Project/Area Number |
15KK0066
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Research Institution | Ritsumeikan Asia Pacific University |
Principal Investigator |
轟 博志 立命館アジア太平洋大学, アジア太平洋学部, 教授 (80435172)
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Project Period (FY) |
2016 – 2018
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Keywords | 歴史地理学 / 古代道路 / 九州五小京 / 新羅 / 五通 / 駅路 / 三国時代 / 十停 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究においては、新羅時代の駅路復原と、関連する都市の景観復原を軸に据えた。新羅の五通については、基盤Cの時代に既に行っていた北海通以外の四本の道路について、レンタカーによる現地調査を交えて復原を行った。その結果、新羅の三国統一前と後において、大道路体系の態様と原理が大きく異なっていることがわかった。統一前では、領土拡張のための軍事目的が優勢であり、防衛に有利な要害を経由するルートがとられた。一方統一後は、領内の統治と交易、外交に目的の重点が移動し、平地を中心に直線で移動する、典型的な古代帝国の道路の形態となった。 統一前には方面別の陸軍司令官である「四方軍主」の駐屯地へ向けた四つの幹線が存在したとみられ、それが統一後に五通に拡大した。副都である五小京は、五通の延長線上に造成されたと考えられ、そのため小京の数も五に合わせてある。小京は日本の太宰府のような外交的機能があったと考えられ、統一後に付加された経路である東海通は、金海京を経由して日本へ向かう道であったと考えられる。 本研究ではまた、道路上の重要な都市である小京と州治の立地と構造についても探求した。州治の立地に合わせて五通の経路が確定したと考えられ、また先述のように五通に合わせて五小京が立地した。どちらも幹線道路を軸とした碁盤目状の街路計画が施行され、その痕跡は今でも道路、水路、地籍、行政区画などに残っている。以上のような成果を、最終年度には2本の論文と7本の学会発表にて発表を行った。引き続き、書籍化に向けて、総論部分の完成を目指してゆく。
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