2016 Fiscal Year Research-status Report
夏目漱石によるイギリス受容―小説理論の構築の一環として(国際共同研究強化)
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15KK0067
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Research Institution | National Institute of Japanese Literature |
Principal Investigator |
野網 摩利子 国文学研究資料館, 研究部, 准教授 (60586668)
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Project Period (FY) |
2016 – 2018
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Keywords | 夏目漱石 / スコットランド文学 / 文学理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
2016年8月8日から2017年3月29日まで、海外を拠点にして、国際共同研究を推し進めた。当該研究は、夏目漱石によるイギリス文学の受容考察をはじめとして、理論構築と文学構想の連携の実態を、イギリス・アメリカ・ブルガリアの研究者と共同で明らかにする試みである。初年度から確実な実績を産出した。 私は2016年9月22日から2017年6月2日までイギリスのオックスフォード大学のアカデミックビジターの資格を得ており、当該大学に在籍して積み重ねた研究成果および共同研究をつぎのとおり発表した。 1)2016年11月4日ソフィア大学(ブルガリア)でPublic Lecture, "Histories, Ballads and Novels from the Perspective of Soseki's Association with R.L.Stevenson". 2)2016年12月9日オックスフォード大学で国際シンポジウム主催。1st Symposium on "Literary 'DNA': World Literature and Modern Japanese Literature". 発表者は私の他に、共同研究者のStephen Dodd, Linda Flores, Darin Tenev. 私の発表題は"Making a Promise: The Impact of Old English Ballads and Romances on Soseki". 3)2017年3月14日エディンバラ大学(イギリス・スコットランド)でJapanese Studies のSeminar, Translation of Poems: Sir Walter Scott and Natsume Soseki". 重点を置いた研究は、古代スコットランド文学の、近代における活用、ならびに、その漱石に与えた影響である。江藤淳の研究から進展に乏しかった漱石によるイギリス受容の研究がこれで刷新される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
オックスフォード大学に研究の拠点を置きながらも、ロンドン大学でしばしば本国際共同研究の会議を行い、アメリカ・ブルガリアから渡英した共同研究者とも本共同研究に関して議論を詰めた。その結果、新しい文学概念の提示を世界に向かって行うことに意見が一致し、12月のオックスフォードでのシンポジウムでは「文学の‘DNA'」という新しい文学理論の観点から東西の文学を横断する共同研究を団結して推し進めることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
オックスフォード大学での第一回シンポジウムに続いて、2017年6月9日には国文学研究資料館で第二回シンポジウム「文学の‘DNA'―世界文学と日本近代文学」を開催する。その直後から共著づくりに入り、2回のシンポジウムで口頭発表した論文を公表する。新しい文学概念を世界に向けて提出する本書は理論篇ならびに実践篇の二部立てとなる。英語版も並行して用意を進めている。
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Research Products
(7 results)