2018 Fiscal Year Annual Research Report
Research on sport and social mobility through the case of Filipino boxers(Fostering Joint International Research)
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15KK0072
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
石岡 丈昇 北海道大学, 教育学研究院, 准教授 (10515472)
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Project Period (FY) |
2016 – 2018
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Keywords | リスク社会論 / エスノグラフィー |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は共同研究の成果を、国際的に発信するために、ドイツ語圏において研究報告をおこなった。また、大学や市民講座において講義も実施して、成果の国際社会への還元を試みた。本研究の大きな成果は、日本の社会学では、理論的な仕事はおおく輸入されながらも、実証的・経験的な仕事はほとんど紹介されることのないドイツ語圏のフィールドワーカーとの国際共同研究を実施し、さらに今後の学術研究のための豊富なネットワークを築き上げた点にある。 キーワードとしては「リスク社会論」であり、そのために、その研究拠点であるミュンヘン大学での国際共同研究を進めてきたが、本年度においてはさらに研究環境が派生して、現在、移民問題で揺らぐヨーロッパをめぐってダイレクトにその社会問題とも向き合ったエスノグラファーたちの仕事も吸収することができた。具体的にはチュービンゲン大学での国際学会に招聘してもらい、そこで第一スピーカーとして、マニラの事例を現在のヨーロッパの研究動向と接続する研究報告をおこなった。また、ミュンヘン大学で知り合った隣国スロベニアのリュブリャナで活躍するアレス・ブカー教授の求めもあり、マリボル大学リュブリャナキャンパスを訪問して、特別講義をおこなった。 本研究は、リスク社会論をめぐる経験的調査の進展のための国際共同研究であるが、成果の大きなポイントは、昨今のマニラの経済成長が、単に富の配分でレベルでの不均等性を階層ごとに備えているという点だけでなく、リスクの押し付けのレベルにおいてもそれが見られることを経験的に明らかにした点にある。
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