2017 Fiscal Year Research-status Report
自動的な対人認知の発達に関する比較文化モデルの構築-日米の違いの検討ー(国際共同研究強化)
Project/Area Number |
15KK0075
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
清水 由紀 埼玉大学, 教育学部, 准教授 (30377006)
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Project Period (FY) |
2016 – 2018
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Keywords | 特性推論 / 社会的評価 / 文化 / 社会化 / 母子相互作用 / 乳児 / 幼児 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,他者の行動観察時に,特性推論や社会的評価を行う能力の発達について,比較文化的に検討することである。昨年度,ウィスコンシン大学およびニューヨーク大学と共同で実施した,生後6~18ヶ月児の乳幼児とその母親を対象とした実験データについて,投稿論文としてまとめ,Infancyに掲載が決定した。また,SRCDおよびSPSPの2つの国際学会にて発表した。本実験では,15-18ヶ月児のみ,他者に対して反社会的行動を行った行為者よりも向社会的行動を行った行為者に対する選好が見られることが示された。また,行動観察時の母親の子どもへの語りかけにおいて,特性語を多く用いる母親の子どもは,より社会的評価が発達していることが示された。文化差は母親の子どもへの語りかけのみに見られ,乳児においては見出されなかったことから,文化差はより発達的に遅い年齢で見られると予想された。 そこで今年度は,3・4歳の幼児を対象とした検討を行った。行動(向社会的・反社会的)×結果(相手が喜ぶ・悲しむ・ニュートラル)のイベントをPCモニター上に動画で提示し,幼児による行為者への社会的評価を言語的に測定した。またアイトラッカーを導入し,行動観察時の行為者と相手(行為の受け手)への注視についても測定した。データ収集は日・米それぞれのラボで個別に実施し,いずれも完了した。今後,言語データおよび注視データについて,文化差を中心に分析していく予定である。 なおデータ収集に際して,ウィスコンシン大学,ニューヨーク大学,埼玉大学の倫理委員会の許可を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
乳児のデータに関して国際誌へ投稿し,掲載が決定した。またSRCD・SPSP(シンポジウム)の2つの国際学会にて発表した。 さらに幼児を対象とした実験データの収集も完了した。
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Strategy for Future Research Activity |
収集した幼児データおよび母親の育児観や発話データに関しても分析を進める。 いずれも,国際誌へ投稿する。また国内・国際学会にて発表する。 いずれも, 共同研究先のニューヨーク大学,およびウィスコンシン大学を訪問し,直接ディスカッションしながら進める。
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