2016 Fiscal Year Research-status Report
技術と製品ラインの選択に関する実証分析(国際共同研究強化)
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15KK0078
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
大山 睦 一橋大学, 大学院商学研究科, 准教授 (20598825)
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Project Period (FY) |
2016 – 2017
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Keywords | 製品の選択 / プロダクトイノベーション |
Outline of Annual Research Achievements |
企業レベルの詳細なデータを用いて、企業の製品ライン選択を検証し、そのメカニズムを分析することを研究目的としている。国際共同研究強化では、基課題研究で得られたデータ分析の結果をもとに、企業の製品ライン選択における需要要因と供給要因の役割をデータ分析によって特定し、企業の製品ライン選択に関するメカニズムを明らかにする。 研究計画にしたがって、本研究代表者は平成29年3月28日に渡航し、メリーランド大学ロバートH.スミスビジネススクールに研究拠点を移した。平成29年度はメリーランド大学でBraguinsky准教授と共同作業を行うことを通じて、研究の進捗を図る。平成28年度の渡航期間は僅かであり、Braguinsky准教授と共同作業を行う機会が少なかったが、現在までに完了した作業の確認と今後の研究実施の方針を決めた。 上述の状況により、平成28年度は平成29年度に行う本格的な共同作業に向けての準備期間とした。主にデータベースの構築と整備、準備的なデータ分析に努力と時間を費やした。特に、準備的なデータ分析により、企業の製品ライン選択のパターンに関して、先行研究で発見されているパターンと先行研究で発見されていないパターンの両方を発見するに至った。具体的には、(1) 企業は実験的に様々な新しい製品を市場に投入し、成功した製品の生産に資源を投入するようになる、(2) 製品群における質の移動は低品質から高品質へ移動するとは限らない、(3)ある製品群での生産の経験は他の製品群での生産でも移転が可能であるという結果をデータ分析から得た。準備的なデータ分析による実証結果は更なる検証が必要であり、因果関係も含めて、様々な角度からデータの検証が必要となる。これらの作業は、研究計画通り、平成29年度の研究作業となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究代表者が平成29年3月28日に渡航したため、平成28年度における国際共同研究強化に関する活動は限られている。平成29年3月28日以降に行ったことは、Braguinsky准教授と研究打ち合わせを行い、研究に関する現状の確認と平成29年度の研究の実施方法について話し合いを行った。 平成28年度は、平成29年度の研究活動に向けて、主にデータベースの整備と準備的なデータ分析を行った。この点に関してはおおむね研究計画通りに進んでいるが、更なるデータ収集と電子化の作業の必要性が生じた。この作業を平成28年度中に終了することができずに、平成29年度の4月に引き続き行うことになった。この作業の遅れは全体の進捗を阻むものではなく、平成29年度の研究計画に支障ないと判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は本研究代表者がメリーランド大学ロバートH.スミスビジネススクールに滞在し、Braguinsky准教授と共同作業を行うことを通じて、研究の進捗を図る。国際共同研究強化のメリットを最大限に生かすために、Braguinsky准教授と共にデータ分析を行うだけでなく、最適な分析方法の検討と精緻化も行う予定である。頻繁、かつ定期的に研究打ち合わせや共同作業を行う予定であり、研究の大幅な進捗が期待される。 平成29年度の前半は予備的な実証分析の結果を踏まえて、データ特製の理解、実証分析方法の検討、データ分析の実行、結果の解釈、実証分析方法の再検討を行う。より具体的には、データ分析の実行により、データの欠落や推定方法の問題など新たな課題が発生することが予想される。Braguinsky准教授と共に解決するだけでなく、メリーランド大学の専門分野が同じである研究者とも意見交換や議論を行い、効率的に問題解決に努める。また、意見交換などを通じて、研究者のネットワークを築くことも同時に行う。 平成29年度の後半は論文の執筆と研究報告に時間と努力を費やす予定である。アメリカの経済学研究は世界でもトップの水準であり、アメリカ国内で研究報告することにより、有意義なフィードバックやアドバイスを受けることができ、研究の質を高めることができると期待される。アメリカ経済学会の年次大会やNational Bureau of Economic Researchのワークショップ等で研究報告することを考えている。平成29年度の末までに論文を完成させ、評価の高い国際学術誌に投稿することを最終目的とする。
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