2018 Fiscal Year Research-status Report
人口高齢化で増加する医療費に対応した医療市場の設計に関する研究(国際共同研究強化)
Project/Area Number |
15KK0083
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
角谷 快彦 広島大学, 社会科学研究科, 准教授 (20619176)
|
Project Period (FY) |
2016 – 2019
|
Keywords | 医療経済学 / 老後の不安 / 医療支出 / 金融リテラシー |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度は、前年まで滞在したタイ・チュラロンコン大学での研究の成果発表に努める計画であったが、本年度は計画を大きく上回る成果を残すことが出来た。これらの成果は、1)研究成果、2)国際的な研究ネットワークの深化、3)そして大学院生の受け入れ(若手研究者の育成)から成る。 まず、研究成果であるが、平成30年度は、査読付き国際学術誌に2本の論文が採択され、学会発表論文を2本発表、そして1冊の訳書(単訳)を学術出版社より出版した。中でも発表論文の2本はJournal of Pension Economics & FinanceとPsychogeriatricsへの掲載決定で、それぞれ「老後の資産蓄積を促進する金融リテラシーの決定要因」と「認知症罹患による経済活動縮小のインパクト」に対して科学的なエビデンスを提示したという点で分野の発展に重要な貢献を残すものであった。 次に、平成30年度には、国際共同研究加速基金による研究活動で構築したネットワークを更に深化する目的で、タイ、オーストラリア、フィンランド、バングラデシュ等から計15名の海外研究者を広島大学に招き、それぞれセミナー開催、サバティカル滞在、研究打ち合わせ、合同ワークショップ開催を行った。なかでも、12月には前年度滞在したチュラロンコン大学より8名の研究者を招いての合同ワークショップは、研究交流と今後の研究シーズについて重要な情報交換を行い、今後の研究協力の深化に対して重要な機会となった。 最後に、若手研究者の育成として、前年まで滞在したチュラロンコン大学より2名の優秀な博士後期課程学生を研究室で受け入れた。これは、前年度チュラロンコン大学で研究交流を行った候補学生を大学推薦の文部科学省奨学生として推薦して受け入れたもので、国際共同研究加速基金を通じた研究交流を継続的に深化させる上でも非常に有意義であった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
概要で示したとおり、2本の論文採択と2本の学会発表論文発表、1冊の単著訳書出版の研究成果に加え、前年に築いた国際的な研究ネットワークのさらなる深化と、若手研究者の育成交流にも成果を上げることができた。本年度の成果は計画以上に実施できたと判断できる。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は当初の計画をほぼ達成した後に、平成29年度に新たに発見した「個人の金融リテラシーの高さが老後の不安の大きさ、ひいては医療支出に影響を与えている可能性がある」という仮説をさらに掘り下げて成果を一層創出する予定である。既に前年度に書き上げて現在査読中の論文が6本ある。本年度はこれらの論文を採択へとつなげる他、昨年度に分析を完了したものの、書き上げていない新たな4本の論文についても発表を目指す。
|