2018 Fiscal Year Research-status Report
異種感覚情報統合の学習メカニズムとその神経基盤の解明(国際共同研究強化)
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15KK0092
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
寺本 渉 熊本大学, 大学院人文社会科学研究部(文), 教授 (30509089)
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Project Period (FY) |
2016 – 2019
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Keywords | 実験心理学 / 異種感覚統合 / 学習 / ベイズ統合 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒトは外界を認識する際,視覚情報(顔,車の形)だけでなく,聴覚情報(声,エンジン音)など,複数の感覚情報を無自覚に利用している。こうした異種感覚統合を実現するためには,各感覚器が受け取る刻一刻と変化する複数の信号の中から,同一事象を発生源とする信号を見つけ出す必要がある。その際に,時空間的な一致性という基本的手がかりに加え,脳がとる効率的方略と考えられるのが,過去の経験に基づきあらかじめ結びつける信号を決めておくこと(異種感覚間対応学習)である。本研究では,異種感覚間対応学習によって獲得された感覚どうしの対応づけルールの維持・更新プロセスに関わる心的メカニズムとその神経基盤について,心理物理学的手法と生理心理学的手法および計算論的手法を用いて明らかにすることを目的としている。 本年度は国際共同研究者であるドイツ・Ulm大学のMarc Ernst教授のもとを2018年3月27日から2018年9月29日までおおよそ半年間と2018年12月2日から2018年12月9日まで訪問し,複数の心理物理実験を実施した。感覚どうしの対応づけルールの維持・更新プロセスに関わる心的メカニズムのうち,特に,注意プロセスの働かない低次処理プロセスに焦点を絞り,研究を進めた。具体的には,連続フラッシュ抑制(continuous flash suppression)技法を使い,意識にのぼらない視覚情報が聴覚による知覚に及ぼす影響を指標に検討を行った。そこでは,見えない視覚情報でも見えていると同様に視聴覚情報の時空間的制約を受けながら聴覚に影響を与えることが明らかになるなど,比較的低次の処理領域の関与が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究代表者および海外受入研究者(ウルム大学・Marc Ernst教授)において,その他業務による多忙のため,当初計画よりも遅れている。現在までの実験で得られているデータは当該専門領域において極めて高いインパクトを与えうるものであり,データの信頼性を高めるため複数の追加実験を実施する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
日本とドイツで追加実験を実施し,現在までに得られているデータの信頼性を高める。また,データをまとめ,国際学術雑誌への投稿および国内外の学会で公表する。
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Research Products
(6 results)