2016 Fiscal Year Research-status Report
サービスの失敗に対する顧客の苦情発生プロセス:文化的自己観を要因とした実証研究(国際共同研究強化)
Project/Area Number |
15KK0095
|
Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
松下 光司 中央大学, その他の研究科, 教授 (40329008)
|
Project Period (FY) |
2016 – 2018
|
Keywords | サービスの失敗 / 苦情 / サービス・リカバリー |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、次年度からの渡航の準備を実施すると同時に、基課題の成果を受けて、次にいかなる応用課題が適切であるかを検討した。基課題は、グループ消費という文脈に着目しながら、サービスの失敗から生じる苦情の心理メカニズムを明らかにするものであった。そこでの主な成果は、(1)文化的要因よりも関係性要因が、グループのメンバーが被るサービスの失敗に対する苦情行動を説明する重要な要因となること、(2)同伴者の存在が苦情発生を増幅する要因として働くこと、(3)、友人との関係を維持するために苦情反応を利用している可能性を示したこと、であった。 そこで、第1に、マーケティングの応用課題、すなわちサービス・リカバリーの分野の文献を整理した。これまで探索した限りでは、提案した心理メカニズムに対応したリカバリー方法は提案されていないことが明らかになった。 第2に、応用課題へと進むための手かがりが明らかになった。過去のサービス・リカバリー研究では、サービスの失敗の特性にあわせて、そのリカバリー方法が提案されてきている。サービスの失敗(ロス)は期待からの乖離であり、その乖離の質に応じて、ロスを埋め合わせの方法が変わるというわけである。基課題の成果からは、グループ消費の文脈においては、どのようにロスを知覚するのか、どのようなときにロスを埋め合わせたいとかが得るかは、同伴者との関係の質によって規定されることが示唆されている。この知見に依拠しながら、新しい視点のリカバリー方法を見出していくことが有望であることが明らかになった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
基課題の進行にしたがって、基礎的な研究を展開させる実証研究、および応用課題に対応する実証研究を実施するのが遅れてしまった。計画は若干遅れてしまっているが、計画の基本的な流れは変わっていない。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度は、心理メカニズムをより詳細に特定化するような実験を行う。また、これまで特定化された理論的背景に合致した有効なサービス・リカバリーの方法をテストするための実験に取り組むことになる。これまでの計画通り、実験デザインから、データ収集と分析、学会発表準備へと歩を進めていく。
|