2017 Fiscal Year Research-status Report
サービスの失敗に対する顧客の苦情発生プロセス:文化的自己観を要因とした実証研究(国際共同研究強化)
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15KK0095
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
松下 光司 中央大学, その他の研究科, 教授 (40329008)
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Project Period (FY) |
2016 – 2018
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Keywords | 不平 / 満足度 / 文化 / 目標 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の成果は、基課題のモデルを基礎分野の研究として発展させ、その成果にもとづいて、米国学会へ投稿したことである。共同研究者であるJohns Hopkins University, Haiyang准教授と議論しながら、消費者がサービス消費において設定するゴールに焦点を当て、モデルの理論基盤を発展させた。
一般的には、サービス消費の研究では、消費者は当該サービスを享受することによって、個人の目標を達成することが想定される。例えば、空腹を満たすこと、楽しい気持ちになることなどが、想定される目標と言えるだろう。つまり、消費者は、個人レベルの目標 (individual-level consumption goal)を設定し、その目標を達成したかどうかで満足度が決まり、著しく達成していなければ不平を言う。これが従来型のモデルであった。一方で、グループの消費に焦点を当てている本研究は、グループ消費において特定的な目標、すなわち、サービス消費によってグループのメンバーとの関係性を発展させたいという目標を持つことがあると考えた。このような目標を関係性目標(relationship goal)と呼ぶことにした。例えば、レストランでの食事をすることで、食事について会話を交わすことで、より良い関係を作っていくことなどである。われわれは、グループ消費を理論的に捉えるには、個人目標のみならず、関係性目標も保持している消費者のサービス消費を検討していく必要があるだろうと考えた。
この理論的背景を中心にしながら、2018年10月に米国で開催されるACR(Association for Consumer Research)コンファレンスのWorking Paper Sessionに投稿した(When Getting Better Service Leads to More Complaints)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Johns Hopkins University からの正式な受け入れが、当初予定されていた9月から12月に変更され、スムーズな共同研究の立ち上がりができなかった。また、実験データ収集時の改善点が明らかになり、その点を克服する方法について議論する時間が必要であった。以上の2つの理由から、若干の遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
基課題に続いて、シナリオ実験を予定している。本年度において特定化した理論的背景にしたがって、シナリオ、および質問項目を改善していく。一例をあげれば、不平の前段階の満足度形成をより重要な変数として考えることである。グループ消費において、不平は重要な変数であることは疑いのないところである。しかし、不平の前段階の満足度においても、同じような視点で研究ができるはずである。言うまでもなく、満足度は不平に比べてより重要度が高い構成概念である。今後の追加実験では、満足度にも焦点を当てながらシナリオ、質問項目を作成し、データを集めていくことになる。
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