2019 Fiscal Year Annual Research Report
Customer complaining of service failure(Fostering Joint International Research)
Project/Area Number |
15KK0095
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
松下 光司 中央大学, 戦略経営研究科, 教授 (40329008)
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Project Period (FY) |
2016 – 2019
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Keywords | サービス / サービスの失敗 / 苦情 / グループ消費 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、「サービスの失敗」(サービスのパフォーマンスが顧客の不満足を導くような形で事前の期待水準を下回ること)に直面した顧客が、いかなる心理プロセスによって苦情を発生させるのかを、グループ消費という文脈で明らかにすることである。サービスの失敗は、その後の対応方法を知る基礎となるため、サービス研究において極めて重要な課題として認識されてきている。 顧客満足度や苦情に関する既存の研究は、主に個人の消費の文脈に焦点を当ててきている。しかし、容易に想像できるように、レストランやホテルなど、いくつかのサービスの文脈では、顧客は一人ではなく、複数の顧客でグループとしてサービスを享受することが多い。このような状況にもかかわらず、他の人と一緒にサービス消費に参加する「グループ・サービス消費」における顧客満足の形成や苦情行動については、残念ながらほとんど知られていない。 そこで、本研究では、3つのオンライン実験を実施し、個人消費とは異なる、グループ消費の特徴を明らかにした。第1の貢献は、グループ消費に特有なパターンを導き出したことである。すなわち、優れたサービスを受けると、グループ消費の文脈では、より多くの不満が生じるという、一見すると直感に反する結果が生じるのである。第2は、このパターンが生じる理由を明らかにしたことである。自分自身が受けるサービスが他のグループ・メンバーのそれより優れているとき、優れたサービスは個人目標を十分に満たすことができるものの、一方で、グループ内の他のメンバーとの良好な関係を育むという目標を阻害してしまい、顧客の罪悪感を引き起こすのである。このようなネガティブな感情が、顧客の満足度を低下させ、結果として、不平行動を引き起こすのである。
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