2017 Fiscal Year Research-status Report
紛争後のアフリカ社会における内生的な社会統合に関する研究(国際共同研究強化)
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15KK0099
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
村尾 るみこ 立教大学, 21世紀社会デザイン研究科, 助教 (10467425)
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Project Period (FY) |
2016 – 2018
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Keywords | 紛争後社会 / 社会統合 / アンゴラ / ザンビア |
Outline of Annual Research Achievements |
南部アフリカで紛争が収束して10年あまりが経過した今、同地域の社会経済状況が今日の南部アフリカをとりまくグローバルな政治経済の変動と無関係ではなく過渡期を迎えていることが明らかとなりつつある。特に紛争後のアンゴラは、豊富な地下資源を中心とする経済構造やインフラの未整備等が特徴であるが、南アフリカおよびイスラム経済、中国資本等当該国外部との政治経済的関係も看過できない。本研究は、アンゴラ社会のミクロレベルの社会経済変化を詳細に明らかにした上で、マクロレベルの変化との関連性を総合的に考察し、新たな局面を迎えるアンゴラの紛争後社会に関する深い理解を目指すものである。 今年度は、アンゴラと今日まで歴史的に深いつながりをもつザンビアでのフィールドワークのほか、ポルトガル、イギリス等国内外の教育研究機関、関係省庁、国際機関等を中心に各種情報資料の収集をおこなった。フィールドワークでは、ザンビアのアンゴラ元難民の地域統合に関するインタビューを実施し、近年の地方行政や地域開発と元難民の社会的統合との関係性についての情報収集した。調査資料を分析した結果、社会文化的特徴が多様であるにも関わらず、統一的な地域統合策の実施によって元難民らの生活そのものが未だ先行き不透明になっている状態にあることが明らかとなった。アンゴラ東部社会との共通性を見いだせた点で意義がある成果であるため、他地域で難民・紛争後社会を研究する研究者らとの研究会開催のため、関連する研究者との情報交換や研究打ち合わせをおこない、アンゴラとザンビアの横断的な地域理解を深めた。リスボン大学では共同研究者の網中氏とアンゴラの地域史に関する口頭発表をおこなった。そこでの議論を踏まえ、紛争後の南部アフリカにおけるアンゴラ地域史の特徴を考察する論文の執筆を開始したほか、アンゴラの紛争後社会に関する書籍出版にむけた準備・執筆をはじめている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度予定していた研究計画は、以下のとおりほぼ順調に実施した。ザンビアをはじめ国内外でフィールドワーク、現地視察を実施したほか国内外の教育研究機関、関係省庁、国際機関等を中心に各種資料の収集と情報収集をおこなった。これらの調査資料を分析し、他地域で紛争後社会を研究する研究者らとの研究会開催のため、情報交換や研究打ち合わせをおこなった。アンゴラの地域史についてはリスボン大学で共同研究者と口頭発表し、アンゴラ地域社会比較と歴史的考察というタテとヨコの議論を深めた。以上を通じて得た知見をもとに、アンゴラの地域史およびアンゴラの紛争後社会に関する書籍の執筆を開始している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、前年度までに得られている各種情報資料から、今日まで歴史的に相互連関してきたアンゴラとザンビア社会経済的特徴を総合的に分析する。そのため、国内の関連する研究者を招いて研究会を開催するほか、Fifth biennial conference of the Association for African Studies in Italy にて共同研究者らと開催するパネル発表(採択済)など、国外の学会で成果を口頭発表する。そこでの議論を踏まえ、基課題で準備している書籍等の原稿をブラッシュアップし、"Africa Study Monograph Suprimentary Issue"にてアフリカの紛争後社会と開発に関する特集号として出版を予定している。
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Research Products
(3 results)