2016 Fiscal Year Research-status Report
誘導型と構造型を融合させた実証モデルによる企業結合とカルテルに関する研究(国際共同研究強化)
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15KK0101
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
西脇 雅人 早稲田大学, 高等研究所, 准教授(任期付) (80599259)
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Project Period (FY) |
2016 – 2018
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Keywords | カルテル / 企業結合 |
Outline of Annual Research Achievements |
構造系と誘導系の推定を駆使して、カルテルと企業結合の研究を行うことが本研究課題の目的である。本年度にはまず誘導系の推定方法を用いた実証を行った。企業結合と市場支配力との関係を企業結合が企業行動に与える影響を考慮しつつ推定した。その結果、企業レベルにおいては企業結合による効率化が見られる一方で、市場レベルで見た場合には企業結合が進んでいる市場では企業行動がより協調(カルテル)的になっているという結果が得られた。また、関連する研究として、違法カルテルを明示的に扱い、どのような市場構造がカルテルにつながるかを明らかにする研究も行った。そこではカルテルを表す変数には観測誤差を伴うことを厳密に扱う手法を開発し、実証研究を行っている。具体的には、カルテルは公正取引委員会により摘発されないかぎり観察ができないという性質を持つためカルテルを表す変数は不完全になる。この観測の不完全さを部分識別の考え方を用いて取り扱い、観測が不完全な変数を扱う推定方法(実証モデル)を開発した。この推定方法を用いて、企業結合と違法カルテルとの関係性を部分的に明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
申請前から構想していた研究であるため順調に開始することができたが、当初予定していた渡航期間よりも5ヶ月ほど短い滞在になったことから研究に遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は誘導系推定で得られた結果をもとにそれを発展させ構造系のモデルを構築することにエフォートを傾けていくとともに誘導系で得られた結果をさらに精緻なものとして論文にまとめる作業を行う。
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