2016 Fiscal Year Research-status Report
人道的介入の実践における倫理/非倫理の類型化-〈奪命の倫理〉探求の準備研究(国際共同研究強化)
Project/Area Number |
15KK0103
|
Research Institution | Nanzan University |
Principal Investigator |
大庭 弘継 南山大学, 社会倫理研究所, 非常勤研究員 (00609795)
|
Project Period (FY) |
2016 – 2018
|
Keywords | 人道的介入 / ジェノサイド / よりマシな悪 / 国連平和維持活動 / 太湖地域 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、ルワンダに3回渡航し約60日滞在した。 本研究の目的は、ルワンダの教員や学生などとの議論から、人道的介入が許容される倫理的条件を考察することである。渡航先のプロテスタント人文社会科学大学は、ルワンダ人のみならず、紛争国であるコンゴやブルンジからの留学生も多く、また平和紛争学科の学生であるため人道的介入や国連平和維持活動について関心が高く、これらの介入に対する倫理的評価について様々な知見を得ることができた。特に倫理的限界事例を用いた申請者の特別授業は、学生に「紛争のステークホルダー」の介入に対する賛成意見と反対意見の双方を収集でき、有益であった。なお、本研究は2016年7月に南山大学倫理審査委員会の審査を通過したが、16年度に取り組んだ研究においては、倫理的に配慮を必要とするインタビュー等は実施しなかった。 16年度は、基課題から取り組んでいた人道的介入とコスモポリタニズムの関係について論じた論稿「「人類のための犠牲」試論 ― コスモポリタニズムに欠如するもの」を発表するとともに、当該論稿を収録した論文集『超国家権力の探究:その可能性と脆弱性』(南山大学社会倫理研究所)を編者として刊行した。また京都大学アカデミックデイ2016において、基課題ならびに本研究の成果をもとにした、「人道のための戦争?よりマシな悪を選ぶ」と題したポスター発表(眞嶋俊造氏、中村長史氏との共同報告)を行い、大賞を受賞した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
渡航期間を十分に確保でき、渡航先においても必要な議論を行うことができているため。
|
Strategy for Future Research Activity |
渡航先大学からの希望もあり、本研究の具体的成果として、渡航先大学でのシンポジウム並びに成果報告書の刊行を計画している。詳細については、現在調整中である。
|