2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15KK0108
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
ダダバエフ ティムール 筑波大学, 人文社会系, 准教授 (10376626)
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Project Period (FY) |
2016 – 2018
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Keywords | 米国の対中央アジア政策 / シルクロード外交 / 一帯一路構想 / 中央アジアプラス日本 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目標は、中央アジア地域に対する米国、中国、日本の外交政策の比較研究を行うことである。基課題では、中国と日本の対中央アジア政策の比較を行っているが、中央ユーラシアにおける政治的な安定化、民主主義と対テロ戦いの仕組みの検討において、アメリカの外交政策が重要不可欠であるにも拘らず、アメリカの対中央アジア政策を比較対象に加えた研究が、ほとんど見られないことが明らかとなった。 そこで、本研究では、基課題を発展させる形で、主にアメリカの中央アジアに対する外交政策に対象を絞り、その特徴と発展過程の考察、中国、日本の外交政策との比較を行い、中央アジア諸国とアメリカと日本の間にみられる協力をどのように概念化すべきか、アメリカが中央アジアとの関わりをよりダイナミックなものにするうえで、日本及び中国と中央アジア諸国との協力関係はいかなる示唆をあたえるのか、といった問いに答えることを目指した。その結果、米国のコロンビア大学において専門家に対する面談・インタビューを実施し、図書館において資料収集を行った。ワシントンにあるジョージ・ワシントン大学における中央アジアプログラムとも連携の構築を目指し、平成30年9月において本研究の成果の一部をセミナーの方式で公開することについて打ち合わせを行った。以上の研究活動を引き続き継続し、これまでに収集したデータの分析と新たなデータ収集を試み、本研究の成果の論文執筆活動を継続している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
派遣期間中に研究代表者はコロンビア大学ハリマン研究所において客員研究員の身分で所属し、同研究所所長A.Cooley教授との共同研究を組織している。共同研究の体制としてコロンビア大学校内に研究室をおき、共同研究者と日常的にアドバイス・指導を受けている。共同研究に関する先行研究の成果に関する情報収集をコロンビア大学の図書館にて行っており、関連の研究者とも共同研究に関する打ち合わせを行っている。それを通して共同研究に関する意義とその研究方法について共通の理解を構築している。
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Strategy for Future Research Activity |
派遣先においての今後の研究活動は主に以下の4つから成り立つ。 【1】Cooley教授と共同で理論研究を行い現実主義、自由主義、建設主義などと対比してアメリカ・日本・中国の対中央アジア政策を批判的言説分析手法を適用し分析する。 【2】7月から12月にかけてアメリカの国務省、国防総省、USAIDなどによる資料調査を行う際に、コロンビア大学、NY私立大学、ジョンホプキンズ大学、ブルキンズ研究所、などの図書館を活用する。これらを通じ、アメリカによる中央アジア諸国に対する援助政策の支援アジェンダ―の目標の理解が可能となる。 【3】本年10月にCooley教授との共同聞き取り調査を実施し、以上のアメリカの大学の専門家などに対する対外政策決定過程に影響を及ぼしていると思われる要因に関するアンケート・インタビュー調査を実施する。意見交換の一環として共同ワークショップ開催を予定している。 【4】Cooley教授との共同作業の結果として①アメリカの対中央アジア外交政策の概念化を行い、②中国、アメリカと日本の外交政策との比較の理論的な枠組みを作成する。その結果として、日本および国際機関に対し中央アジア諸国に対する援助政策の立案、実施の際の指標を設定することが可能となる。また、中央アジア諸国が共通して有する課題に対する域内協力や相互理解に関してもこれらを促進するための提案も想定される。
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