2016 Fiscal Year Research-status Report
新たな香り提示法による自閉症スペクトラム症児の嗅覚特性同定と療育への応用(国際共同研究強化)
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15KK0115
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
熊崎 博一 金沢大学, 子どものこころの発達研究センター, 特任准教授 (70445336)
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Project Period (FY) |
2016 – 2018
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Keywords | 自閉スペクトラム症 / 嗅覚特性 / ロボット / インタラクション |
Outline of Annual Research Achievements |
自閉スペクトラム症(Autism Spectrum Disorder: 以下ASDと略す)児及びASDを含めた他の精神疾患に罹患していないコントロール群に対しその嗅覚特性をSniffin Sticks及び、COBEL(The Children’s Olfactory Behavior in Everyday Life questionnaire)、感覚プロファイル日本語版を用いて評価した。尚、COBELについては翻訳作業を行った。また児の母の嗅覚特性についてもOAS(Odor Awareness Scale)、Affective Impact of Odor Scale (AIO)、Sniffin Sticksを用いて児及び母に評価を行った。現在までのところ、母親の嗅覚特性と児の嗅覚特性の間に強い相関関係は認めていない。またASD児のインタラクションは体臭による影響を受けることが示唆されているが、ASD児を一体のロボット及び二体のロボット、さらにコントロール条件としてヒトなど多くの条件であらかじめ作成されたスクリプトの元インタラクションを行わっていただいた。その上でその行動についてビデオカメラから①アイコンタクト、②リズムの同律、③瞬きの回数などを測定し条件間による違いについて評価している。今後も実験を重ねると同時に複雑な実験条件による評価も行い、児の嗅覚特性とヒトやロボットといった対象とのインタラクションにおけるノンバーバルなコミュニケーションの質との間に認められる相関関係ついての解析を進めていく予定である。また嗅覚のみでなく他の感覚特性とインタラクションの関係についても同様に調べていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在まで被験者は順調に集まっている。におい実験、ロボット実験とも現在までASD児群とコントロール群併せて50名程度の方が実験を終えている。現在までのところASD児群ではコントロール群と比べSniffin Sticksの結果は嗅覚刺激に敏感であり、COBELの結果はにおいに気づきやすく、感覚プロファイルの件は感覚特性が強いとの結果となっている。またロボット実験ではASD児群ではコントロール群と比べ、ロボットからの視線誘導に反応しやすいとの結果が出ている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も被験者を集め、臨床的な認知行動学的データ及び生理学的データの相関評価を行うために、必要な標本数を確保できるよう進めていく。
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