2017 Fiscal Year Annual Research Report
Empirical Research on Corporate Governance: Law and Institutions, Culture, and Organizational Characteristics(Fostering Joint International Research)
Project/Area Number |
15KK0124
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
内田 交謹 九州大学, 経済学研究院, 教授 (80305820)
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Project Period (FY) |
2016 – 2017
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Keywords | コーポレートガバナンス / 取締役会 / 経営者交代 / 経営者報酬 |
Outline of Annual Research Achievements |
Jeffrey Coles 教授と以下の課題について共同で取り組んだ。 ①日本の取締役会の機能に関する実証研究:一般に、独立的な取締役会ほど有効に機能すると考えられるが、経営者の内部労働市場としての性格を持つ日本においては、現職経営者よりも若い内部取締役間の競争状況が取締役会の機能を測る上で重要と考えられ、実証研究を行った。分析の結果、現職経営者よりも若い内部取締役の割合が高い企業ほど経営者交代を頻繁に行っており、かつパフォーマンスも優れているという頑健な結果が得られた。この研究はワーキングペーパーとして公刊しており、既に3つの国際カンファレンスから報告許可を得ている。また University of Hawaii のファイナンス・セミナーにて報告を依頼されている。 ②日本の経営者報酬に関する実証研究:近年の日本では、信託を用いて役員に対して業績連動型の株式報酬を与える与える手法が増加している。この際、信託を管理する信託銀行及び当該信託銀行が管理する信託勘定について、報酬制度の導入前後における変化を分析することで、業績連動型株式報酬が株主価値に与える影響について、これまでにない分析が可能になる。現時点で入手できる期間について分析を終了し、今後さらにデータを追加して、分析を続ける予定である。 ③米国の経営者報酬に関する実証研究:近年のアメリカでは、特定のライバル企業との相対的なパフォーマンス比較によって経営者への報酬を決定する手法が増加している。一方、寡占市場で活動する企業は、超過利益を維持するために、ライバルとの競争を促進する報酬制度は採用しないはずである。この点について実証分析を行い、予想を支持する結果を得た。引き続き、報酬制度において実際にライバル企業として採用されている企業の特徴について、特に株式のクロス保有に焦点を当てながら分析している。
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