2017 Fiscal Year Research-status Report
北極海をめぐる国際政治-地域秩序の形成と発展(国際共同研究強化)
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15KK0133
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
大西 富士夫 北海道大学, 北極域研究センター, 准教授 (20542278)
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Project Period (FY) |
2016 – 2018
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Keywords | 北極 / 安全保障環境 / 北極NATO関係国 / 米国 / ロシア / 中国 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、海外渡航へ向けた準備及び文献調査、インターネットを中心とする情報収集を中心に北極安全保障環境の実態の把握に務めた。文献調査では、安全保障、英国学派、その他国際関係論に関する理論書、軍事兵器の最新動向についての専門書、ロシア、米国を中心とした北極諸国の内政及び外交に関する書物を中心に購入した。情報収集では、毎月毎に本課題に関連する情報を収集し、整理した。 この結果、北極では1990年代に形成された地域秩序が現在も正常に機能しており、北極協調体制は維持されているものの、ひきつづき、ウクライナ危機後の米露関係、欧露関係の悪化、ロシア及び北極NATO関係諸国の間の緊張、中国の北極への更なる進出等が、北極の国際政治及び安全保障環境にマイナスの影響を及ぼす可能性があることが依然として高いという見通しが得られた。 具体的には、ロシア及び北極NATO関係諸国の間の緊張についていえば、ロシアの北洋艦隊に所属する船隻が32隻に増加し、NATO諸国が警戒を強めている。ただ、北極NATO関係国のうちノルウェーは、NATO軍の活動範囲を北極海へも拡大することを指示しているものの、カナダはこれに反対の立場をとっている。米国はNATO軍の北極配備について立場をあいまいにしており、ロシアの北極への軍事的展開に対してNATO諸国は一枚岩ではない。加えて、2017年6月にロシアは、中国の一帯一路政策の北極海ディメンションであるアイス・シルクロードについて合意した。中国の政治的経済的進出とロシアの軍備拡張が同時に進められており、北極安全保障環境はさらに厳しさを増すと考えられ、北極協調体制の不安定要因は一層高まるものとみられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度、所属先の変更により当初の研究計画を見直し、当該事業の研究の実施を平成30年に実施する変更を行った(第1回目の渡航を平成30年3月20日から平成30年6月20日にかけて、第2回目の渡航が平成30年7月20日から平成30年9月20日にかけて、また、第3回目の渡航が平成31年1月5日から平成31年1月30日にかけての期間へと変更した)。本年度は、所属先での公務の都合からこの変更計画に若干の変更を加え、平成30年6月1日から平成30年9月30日(3か月間)、平成30年11月25日から平成30年12月25日(1か月間)、平成31年1月10日から平成31年3月10日(2か月間)とする。開始時期がやや遅れているが、内容面での遅れはない。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度においても、引き続き北極安全保障環境の実態の把握につとめ、北極NATO関係国(NATO加盟国であるノルウェー、米国、カナダ、デンマーク、アイスランドと非加盟国でありつつNATOと深いつながりのある北極諸国であるフィンランド、スウェーデン)の北極地域に対する軍備動向および安全保障政策について情報収集を実施すると共に、海外受入れ研究機関であるノルウェー防衛研究所の協力の下、文献調査、聴聞調査、国際会議への参加、情報収集・分析、研究成果の発表を行う。
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[Presentation] Policies and Economy (セッション企画)2018
Author(s)
Shinichiro Tabata, Fujio Ohnishi
Organizer
Fifth International Symposium on Arctic Research: the changing Arctic and its regional to global impact: from information to knowledge and action
Int'l Joint Research
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