2016 Fiscal Year Research-status Report
職業・資格横断的な高度専門職の分類およびその経営管理モデルの研究(国際共同研究強化)
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15KK0140
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Research Institution | Osaka University of Economics |
Principal Investigator |
三島 重顕 大阪経済大学, 経営学部, 准教授 (60454930)
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Project Period (FY) |
2016 – 2018
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Keywords | Pharmacist / Community Pharmacy / ODE / Job Satisfaction |
Outline of Annual Research Achievements |
日本では高齢化社会の進展に伴い、医療費が増加し続けている。英国でも状況は同様だが、彼らは医療の専門家として薬剤師の役割を拡大させることで、医療サービスの向上ならびに医療費の膨大化に対処しようとしてきた。英国の薬剤師の提供する医療サービスは、日本の調剤薬局におけるそれよりも幅広い。そのため、医療のプロとして活躍する英国人薬剤師の職務満足度は、日本人よりも高いと予想された。こうした社会的背景から、筆者は2016年4月1日より一年間、英国のUCL school of PharmacyのResearch Department of Practice and Policy (DPP)に所属し、薬剤師の専門能力の発揮機会と職務満足に関する日英比較研究の定性調査を実施した。 同年9月にUCLの研究倫理委員会に研究開始の承認を受け、10月は主に日本で、11月から2月初頭までは英国で薬剤師にインタビュー調査を実施した。日本の質的データは研究者自身がテープ起こしを行い、英国の質的データのそれは専門業者に依頼した。11月には、「The Relevance of Opportunities to Demonstrate Expertise (ODE) and Job Satisfaction in Community Pharmacy -Comparative Study between Japan and the UK」という題名で、UCL School of Pharmacy(Brunswick Square London)にて、本研究の中間報告を行った。 収集された日英の質的データは、PCソフトNVivoを用いてコード化され、日英の研究者間で分析された。両国のデータ分析・比較は既に終了しており、英文による書き下ろし論文も完成している。しかしながら、論文の文量が多くなってしまったため、今後、純粋にアカデミックな部分と政策提言の部分を分離し、まずは前者をインターナショナル・ジャーナルに投稿する予定である。後者は、日本語に翻訳して、日本の学会誌に投稿する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
2016年4月に渡英以降、4~7月はUCLに所蔵されている豊富な文献調査を行うとともに、共同研究者らと研究の方向性について議論した。 8月に入り、UCLの研究倫理委員会に提出する書類(プロトコル)の作成を始めた。この時点で、本研究で明らかにする点の詳細が決定されていたので、論文のIntroduction、Method、Refarenceに当たる部分を執筆した。また、被験者のリクルート方法やアンケート用紙、彼らへのカバーレターとリーフレットも作成した。加えて、収集した情報の保存方法に関して、研究倫理員会とは別の機関へ提出する書類も作成した。同時に、日本でインタビュー調査を実施するため、調剤薬局企業や日本薬剤師会に依頼し、インタビュイーの選定(性別、年齢、勤務地、等)、また日程などを調整した。 9月半ば、研究倫理員会から研究内容・手段に関する承認を受け、10月に日本へ出張し、13名の薬剤師にインタビュー調査を実施した。その後、英国に戻り、11月から2016年2月初頭にかけて、同様の調査を22名に実施した。収集した質的データはテープ起こしされ、NVivoを用いて分析された。その分析結果を共同研究者らと議論し、3月末に帰国するまでに書き下ろしの論文を執筆した。ただし、論文が少し長くなったため、アカデミックな部分と政策的な部分を分割することとなった。現在、その分割作業を行っている最中である。
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Strategy for Future Research Activity |
現在行っている論文の分析作業が終わり次第、アカデミックな部分に焦点を当てた原稿を英国の共同研究者に送り、再び内容の微調整を行う。その後、インターナショナル・ジャーナルに投稿する予定である。 また、政策的な部分の論文は、日本語に翻訳して国内の学会誌に投稿する予定である。投稿先は現在のところ未定。 また、2016年度の一年間で非常に多くの質的データを収集することができたため、調剤薬局内の特定の業務に焦点を当てた日英比較論文も執筆したいと考えている。 これらの目的のため、2017年度も少なくとも一度は渡英し、論文の内容や今後の研究の方向性について議論する予定である。
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