2016 Fiscal Year Research-status Report
サンゴ年輪記録から読み解く旧人ー新人転換期をもたらした気候短周期変動インパクト(国際共同研究強化)
Project/Area Number |
15KK0145
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
渡邊 剛 北海道大学, 理学研究院, 講師 (80396283)
|
Project Period (FY) |
2016 – 2018
|
Keywords | 地球温暖化 / 海洋酸性化 / サンゴ骨格 / ハワイ諸島 / 喜界島 |
Outline of Annual Research Achievements |
ハワイを拠点にアメリカ、ドイツ、フランス、イギリス、インドネシア、フィリピン、ベトナム、台湾、および日本の研究者を含む国際共同研究拠点および国際ネットワークを整備した。特に昨年度にハワイの北西海域に設定された世界最大規模の海中保護区(North Western Hawaii Monument)における、サンゴ掘削計画をアメリカをはじめとした各国の研究機関及び各関係省庁との協議の上で立案した。申請者は、既に、ハワイ島、マウイ島、モロカイ島、オアフ島、カウアイ島のハワイ諸島の南東に位置する有人諸島において、サンゴ掘削計画を遂行中であり、北西ハワイ諸島のサンゴ掘削計画の実現により、ハワイ諸島全域を網羅する試料が得られることになる。本国際共同研究では、申請者がこれまで形成してきた国際共同研究組織を利用したシームレスな最先端分析システムと太平洋―インド洋―大西洋を網羅する汎世界的規模のサンゴ年輪試料とデータベースの共有化を推進することにより、これまでの研究を加速的に発展させることにより地球規模の問題の解明に挑戦するものである。サンゴ礁科学研究センターを喜界島に設置し、現生および化石試料の一次処理、予察的解析、選定、および管理までを現場で行うことができる体制が整った。試料の一次処理および試料の選定を終え、ウラン系列による年代決定と酸素および炭素安定同位体比の分析により、現在と人類変革期の両方において、エルニーニョ現象を示す数年規模変動が顕著に認められた。国際サンゴ礁科学シンポジウムを喜界島において主催し、国内外の当該分野の研究者を招聘し、フィールド調査を共同で行う機会を得ると共に今後の解析および研究における発展的展開の可能性を議論することができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
ハワイ諸島全域からのサンゴ掘削を可能にするハワイを拠点にしたサンゴ礁科学の国際共同研究の枠組みが実現可能となりその国際ネットワークが強化された。当初、本国際共同研究の到達目標は、ハワイ諸島の南東域のハワイ島からカウアイ島までの有人域に限定されていた。ハワイの北西海域に世界最大規模の海中保護区がオバマ前米国大統領の宣言と共に設定されたのを契機として、海中保護区の調査研究が推進されることとなり、本国際共同研究のネットワークを用いることによりその海域の調査研究を手がけることを思い至った。その結果、当初予定していた国、研究機関、研究分野を遙かに超えた人々との協同活動が実現され国際ネットワークも大幅に強化されることとなった。さらに、現米国スランプ大統領が、気候研究の予算を半減するという宣言を行ったが、それがかえって自然保護や環境政策を行う人々の協力を得られるきっかけとなり、ネットワークが強化され連邦議会に働きかけることにも成功した。以上のように、国際共同研究強化拠点の形成としては、当初の計画以上の成果があった。
|
Strategy for Future Research Activity |
ハワイ諸島は、ホットスポットの直上の太平洋の中央部に位置するハワイ島から北西方向にかけて太平洋プレートにより数十万年をかけながら移動しながら沈降する火山列島であるが、一方、サンゴ礁を形成する造礁サンゴは、火山岩へ新たに定着、石灰化を上方に維持しながらサンゴ礁を維持し続ける。やがて、ハワイ列島は、カムチャッカ半島に向けて緯度を高めて沈み込んでくために、キューレ島を最後に造礁サンゴは沈降に対しての十分な成長を維持できなくなる。その後は、共生藻類を持たない深海サンゴが生息を続ける。一方で、本研究で国内の拠点にしている鹿児島県喜界島は、過去10万年間の間に隆起を継続してきた島であり、過去から現在までのサンゴ礁を陸上において観察できる場所である。今後は、この対照的なフィールドを拠点として、国際共同研究を推進し、現在および過去のサンゴ礁の形成の機構とその試料を用いた気候復元を行い、人類とサンゴ礁、気候変動の共生システムの維持機構を解明する予定である。また、その過程でさらなる国際共同研究のネットワークと次世代リーダーの育成を行っていく予定である。
|
Research Products
(19 results)
-
[Journal Article] Reconstruction of the temporal distribution of 236U/238U in the Northwest Pacific Ocean using a coral core sample from the Kuroshio Current area2017
Author(s)
Nomura, T., Sakaguchi, A., Steierc, P., Eigl, R., Yamakawa, A., Watanabe, T.K., Sasaki, K., Watanabe, T., Golser, R., Takahashi, Y., Yamano, H.
-
Journal Title
Marine Chemistry
Volume: 190
Pages: 28-34
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
-
-
[Journal Article] Post-bomb coral Δ14C record from Iki Island, Japan: possible evidence of oceanographic conditions on the northern East China Sea shelf2016
Author(s)
Mitsuguci, T., Hirota, M., Paleo Labo AMS Dating Group, Yamazaki, A., Watanabe, T., Yamano, H.
-
Journal Title
Geo-Marine Letters
Volume: 36
Pages: 371-377
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
[Presentation] Geochemical study on precious coral skeletons: Effects of biomineralization and environmental variation2016
Author(s)
Tanaka, K., Takahata, N., Shirai, K., Watanabe,T., Kahng S. E., Sano, Y.
Organizer
Goldschmidt Conference
Place of Presentation
パシフィコ横浜(神奈川県横浜市)
Year and Date
2016-06-26
Int'l Joint Research
-
[Presentation] A 100 YEARS CORAL GROWTH HISTORY IN VOLCANICALLY ACIDIFIED ENVIRONMENTS: ANALOGUES FOR CORAL ACCLIMATION TO FUTURE OCEAN ACIDIFICATION2016
Author(s)
Watanabe,T., Kamimura, K., Sekiya, S., Yamazaki, A., Omori, K., LE Guern, F., Kiyokawa, S.
Organizer
13th International Coral Reef Symposium
Place of Presentation
ハワイコンベンションセンター(ホノルル、アメリカ合衆国)
Year and Date
2016-06-23
Int'l Joint Research
-
-
-
-