2018 Fiscal Year Research-status Report
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15KK0147
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
泉田 渉 東北大学, 理学研究科, 助教 (20372287)
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Project Period (FY) |
2016 – 2019
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Keywords | ナノチューブ |
Outline of Annual Research Achievements |
カーボンナノチューブに代表されるメゾスコピック一次元物質における物理現象を明らかにすることが本研究の目的である。このため、電子系の一粒子状態および電子相関効果を理論的手法により研究する。本課題では、国際的に活躍している理論および実験研究グループとの共同研究により、基課題に比べてより多角的な観点から理論を構築することを目指している。 これまでの研究により、ナノチューブの電子状態に対して、量子伝導領域で重要となる微小ギャップやスピン軌道相互作用などの微細構造の効果を明らかにした。さらに、それら効果を取り込んだ有効一次元格子模型を構築した。これらの知見をもとに系の多彩な物理現象を調べてきた。 本年度は、5, 6月の期間、レーゲンスブルグ大学(ドイツ)のグリフォニ教授の研究室等に滞在し、共同研究を実施した。典型的な電子相関の一つである超伝導相関がナノチューブに近接した超伝導体により誘起される状況に着目して過年度から継続して研究を行った。低エネルギーにおける有効模型の構築を行った。これにより数値解析で得られていた、ナノチューブ端に局在するトポロジカルなマヨラナ粒子に対する解析的な計算による研究を展開し、マヨラナ状態の起源などを明確に示した。 また、通常のナノチューブに対しても、様々な螺旋構造においてトポロジカルな端状態が出現することも示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの国際共同研究の推進により、典型的な電子相関効果の一つである超伝導相関の効果を調べ、メゾスコピック一次元系の示す電子相関効果の一つを明らかとできた。さらに、前年度に開催したワークショップを通してその後も関連研究者との交流を通して、その後も電子相関に関する研究討論を継続的に行うことができている。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き超伝導相関に着目し、現在、国際的に盛んに研究が進められているトポロジカル端状態の詳細を明らかにする。また、電子相関をより詳細に調べる事で、低エネルギーにおける電子相関効果の研究を解析的および数値的な手法により推進する。国際共同研究を継続することにより、基課題に比べて、より多角的な観点から理論を展開する。
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