2018 Fiscal Year Annual Research Report
希土類化合物における価数揺らぎを媒介とした新規超伝導と 異常電子状態の研究(国際共同研究強化)
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15KK0156
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
中野 智仁 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (60507953)
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Project Period (FY) |
2016 – 2018
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Keywords | 価数 / 希土類 / 新規物性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は2つの価数状態をとりうるf電子系の電子系重い電子系化合物において, 理論的に提唱されている「価数揺らぎ」を媒介とした新規超伝導および新規電子状態の探索,そしてそれらの発現機構の詳細を明らかにすることを目的とした。2017年度にカレル大学物理数学部に6ヶ月滞在し,純良単結晶試料の作成および物性測定を行った。前年度の結果と2018年度は関係各者との議論を基に追加の物性測定を行い,主に以下を明らかにした。 (1) 2つの結晶学的なCeのサイトをもつCePtGe2は,3.8Kで反強磁性転移を起こすことが明らかになったが,転移温度以下でも電子比熱係数γは残留し,重い電子状態とも共存していることが示唆された。比熱や電気抵抗および磁化の結果の解析から,一つのサイトが磁性を,もう一つのサイトが重い電子状態を担うことが示唆された。 (2) SmPtSi2は低温で2段階の転移を示すが,その起源は明らかになっていなかった。電気抵抗や,磁化およびゼーベック係数の解析から,高温側はフェルミ面上のエネルギーギャップをともなったSDW転移であること,そのエネルギーギャップは低温側の転移で閉じ,代わりに局在磁気モーメントをもった反強磁性転移であることが明らかになった。さらに低温側の転移は体積現象をともなう一次相転移であることが明らかになった。これは価数の変化をともなう可能性を示唆しており,今後の価数揺らぎの研究の礎となる。
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Research Products
(20 results)