2016 Fiscal Year Research-status Report
衝突・振動による粉体の過渡レオロジーとその天体地形への応用(国際共同研究強化)
Project/Area Number |
15KK0158
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
桂木 洋光 名古屋大学, 環境学研究科, 准教授 (30346853)
|
Project Period (FY) |
2016 – 2018
|
Keywords | 粉体物理 / 天体地形 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は,滞在期間が短く渡航後のビザ取得等にかかる事務手続き等にも多くの時間が費やされたが(ドイツは渡航後に現地でビザを申請する制度のため現地で様々な手続きが必要となった),共同研究の詳細に関する議論を行った.具体的には,渡航直後に滞在先研究グループのリトリートに一週間参加し様々な議論に参加した.このリトリートはドイツおよびウェーデンの3つの研究グループの合同で行われたものであり,研究ワークショップ的イベントであったためいくつかの研究トピックについて様々な参加者と議論することができ非常に有意義であった.その後も,主な共同研究者であるブルム教授と今後の研究手法について打ち合わせを重ね方針を練った.当初は「砂山の振動による地形緩和」と「氷微粒子の衝突挙動」の2つの研究テーマを実施することを想定していたが,砂山地形緩和に関しては,滞在先グループに新たに当該実験を実施する学部学生がついたことより(装置のマシンタイムの関係からも)当面優先順位を下げることとした.一方「氷微粒子の衝突挙動」に関しては,氷微粒子群により構成されるサンプルに固体粒子を比較的低速で衝突させた場合のダイナミクスについて実験的に観察することを当面の目標として設定し,実験に必要な装置や治具の打ち合わせを重ねている.実験研究であるため装置の開発等に一定の時間がかかってしまうが,その待ち時間を利用して,現地の学生や他の国際訪問研究者と様々な議論も行っている.その中では特に,固体天体の衝突による破壊の物理モデル等についての議論を行った.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は2週間程度の滞在となり,主要な研究成果はまだ挙がっていないが,研究室主催のリトリートなどに参加して,今後の研究方針等について詳細に議論することが出来た.
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は,比較的長期にブラウンシュバイク工科大学に滞在することになるので,研究を推進することに集中したい.とくに氷微粒子系の取扱い技術を早い段階で習得し,その衝突実験の成果を得ることに当面は集中する.実験の第一段階としてまずは低速衝突に注目し,衝突によるクレーター形成の観察,衝突弾丸の貫入抵抗の物理モデル化などが重要な課題となる.実験手法としては,現在のところ高速カメラによるイメージングとレーザープロフィロメトリーによる形状解析を想定しているが,データの様子等を確認しつつ臨機応変に計測手法等の開発も行ないたい.また,氷微粒子群によるターゲットを容器に収納した場合と容器に入れず自立させた場合のそれぞれの衝突の結果の相違点等についても可能であれば調べる.氷微粒子群により構成される粉体層への衝突現象の研究は,氷天体等の地形解釈において重要な素過程となると同時に,凝着力を持つ粉体の衝突に対する応答の研究という基礎物理的側面も持つ.本課題の基課題も同時に進行中であるが,そちらでも濡れた粉体層を用いて凝着力のある粉体層の衝突挙動を調べる予定にしており,両者の知見をあわせて,基礎物理,天体地形理解の両者にとって有用な成果を上げることが今後の大きな目標となる. 共同研究先滞在中に,上記の具体的実験研究の他にもいくつかのサブテーマを現地の研究員や学生と共同でこなすことも検討中であり,粉体物理と天体地形の融合に関するテーマに積極的に取り組みたいと考えている.
|