2016 Fiscal Year Research-status Report
超シャロウバンド物質における新奇電子状態と量子凝縮相(国際共同研究強化)
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15KK0160
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
笠原 成 京都大学, 理学研究科, 助教 (10425556)
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Project Period (FY) |
2016 – 2018
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Keywords | 強相関電子系 / 非従来型超伝導 / 鉄系超伝導 / ネマティック転移 / BCS-BECクロスオーバー / 超伝導ギャップ構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
強相関電子系物質において実現する特異な超伝導状態 量子凝縮状態の研究は、現在の凝縮系物理学における中心課題の一つである。その中でも電子対の引力相互作用の変化がもたらす弱結合BCS状態から強結合BEC状態へのクロスオーバーは、特異な量子凝縮と未開拓物理のフロンティアである。本研究では、超シャロウバンド物質である鉄系超伝導体FeSeに焦点をあて、ドイツ・ドレスデン強磁場研究所(Hochfeld-Magnetlabor Dresden, HLD)における極低温・高磁場中での熱および熱輸送測定を通じて、本物質の量子凝縮状態の特異性の解明を行う。更に、これらの強磁場測定を等原子価置換系であるFeSe1-xS系に展開することで、この系における軌道自由度がもたらす電子状態の特異性と、量子凝縮状態の異常を明らかにし、代表者が取り組む基盤研究(B)「超シャロウバンド物質における新奇電子状態と量子凝縮相」の進展に大きな拍車をかけることを目的としている。本年度は、強磁場研究所での予備実験として、12-14テスラまでの熱伝導度および比熱測定を様々な組成のFeSe1-xSx単結晶試料について行った。この系の超伝導では軌道自由度と電子対形成が密接な関係を持つものと考えられ、今後の渡航を通じて、超伝導相全体にわたる熱伝導度および比熱測定を高磁場下で行ない、両者の関係を明らかにしていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本プロジェクトを開始したが、FeSe1-xSxにおいて熱伝導度測定および比熱測定が順調に進んでいる。このことから研究はおおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
ドレスデン強磁場研究所に渡航し、FeSe1-xSx系において超伝導相全体にわたる熱伝導度および比熱測定を高磁場下で行なうことで、軌道自由度と電子対形成の関係を明らかにしていく。
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Research Products
(1 results)