2016 Fiscal Year Research-status Report
遷移金属水素物の電子状態に着目した水素吸蔵特性の解明(国際共同研究強化)
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15KK0168
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
石松 直樹 広島大学, 理学研究科, 助教 (70343291)
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Project Period (FY) |
2016 – 2017
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Keywords | 金属水素化物 / X線吸収分光法 / コバルト / 高圧力 |
Outline of Annual Research Achievements |
H28年度はコバルト水素化物に着手した.コバルトは高圧力の水素雰囲気中において格子中に水素が占有し,その水素量が増加することでhcp-fccのマルテンサイト変態が誘起される遷移金属である.この構造変化をEXAFSと呼ばれるX線分光法で解析する実験課題をフランス・グルノーブルにある欧州放射光施設(ESRF)に申請し受理された.このため,グルノーブルにH28年度9月から約半年間に滞在し,ESRFの高圧X線分光の研究グループと共同研究を行った.昨年11月にESRFのビームラインID24で実施した共同利用実験では,約3GPaからコバルトの水素化が観測され,水素誘起によるシャープなhcp-fccへのマルテンサイト変態とその進行過程をEXAFSで精密に測定することができた.現在,得られた実験データの解析を進めている.さらに,この2月には,ESRFの水素充填装置を用いてコバルト水素化物を作製し,ID24においてコバルト水素物のX線磁気円二色性を測定した.この試料の強磁性秩序に関して結晶格子の収縮に対する安定性を87GPaまでの圧力下測定で調べた.また,本マシンタイムでの実験結果,および,金属水素化物に関するこれまでの研究成果について現地での研究会とユーザーミーティングでそれぞれ発表した.またESRF滞在を通じて,現地の研究者とも個別の議論を多く行った.さらに同グループの実験にも共同研究として参加し,新奇水素化物生成にも有用なナノ多結晶ダイヤモンドアンビルを用いた高圧下でのX線吸収実験の技術を多く習得した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年11月に実施したESRFでの実験でコバルトの水素誘起によるシャープなhcp-fccのマルテンサイト変態をEXAFSで精密に観測することができた.現在,規則的な水素の配列(超格子構造)を仮定したモデル,および.ランダムな水素の配置を仮定した二つのモデルによって実験データの解析を進めており,研究は概ね順調である.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,水素が金属の電子状態に与える影響として金属水素化物の磁性に着目する.このため,コバルトを含有したラーベス相化合物の水素化過程と水素誘起の強磁性状態を探索するX線吸収分光法の実験をESRFにビームタイムを申請している.ビームタイムが採択されれば,今年度後半にESRFに高圧X線分光の研究グループと共同研究を推進する.また,コバルト水素化物の研究成果を今夏に開催される高圧の国際会議に発表予定である.
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] High-Pressure-Hydrogen-Induced Spin Reconfiguration in GdFe2 Observed by 57Fe-Polarized Synchrotron Radiation Mossbauer Spectroscopy with Nuclear Bragg Monochromator2016
Author(s)
Takaya Mitsui, Yasuhiko Imai, Naohisa Hirao, Takahiro Matsuoka, Yumiko Nakamura, Kouji Sakaki, Hirotoshi Enoki, Naoki Ishimatsu, Ryo Masuda, and Makoto Seto
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Journal Title
J. Phys. Soc. Jpn. 85, 123707 (2016)
Volume: 85
Pages: 123707/1-5
DOI
Peer Reviewed
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