2018 Fiscal Year Annual Research Report
Strongly correlated electronic phenomena induced by multipolar degrees of freedom in non-Kramers systems(Fostering Joint International Research)
Project/Area Number |
15KK0169
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
鬼丸 孝博 広島大学, 先端物質科学研究科, 教授 (50444708)
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Project Period (FY) |
2016 – 2018
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Keywords | quadrupole / superconductivity / neutron scattering / thermal expansion / magnetostriction |
Outline of Annual Research Achievements |
多極子が活性となる希土類の非クラマース系PrT2Zn20 (T=Ir, Rh)における結晶場や四極子秩序,四極子が関与する非フェルミ液体的挙動について調べるために,フランスのレオン・ブリルアン(LLB)研究所にて中性子散乱実験を行い,ドイツのアウグスブルグ大学で熱膨張・磁歪を測定した。 中性子散乱実験は,LLB研究所のJ.-M. Mignot博士との共同研究として行った。3He-4He希釈冷凍機と超伝導マグネットを用いて,PrIr2Zn20の四極子秩序の秩序変数を調べた。[110]方向の磁場下で,磁場誘起の磁気反射を観測した。磁気構造解析により,磁場誘起の磁気双極子が[111]方向に整列していることを明らかにし,秩序変数は四極子のO22型であることを同定した。なお,同型構造をとるPrRh2Zn20では磁場誘起の反強磁性ピークは観測されなかった。PrIr2Zn20とは秩序変数が異なっていると考えられる。また,4f3配位をとるNdIr2Zn20の粉末中性子回折実験を行い,転移温度以下で反強磁性秩序による磁気反射を観測した。 アウグスブルグ大学では,P. Gegenwart教授との共同研究として,PrIr2Zn20とPrRh2Zn20の熱膨張・磁歪を測定した。磁場に対して平行方向と垂直方向で熱膨張・磁歪を測定し,磁場中で大きな異方性を発現することを見出した。結晶場と四極子相互作用を考慮した計算により,高磁場・高温の常磁性相における振る舞いを再現した。一方,低磁場・低温領域で観測した異常な温度・磁場依存性は上記モデルでは再現できず,四極子を介した異方的なc-f混成が関与している可能性を指摘した。これらの実験では,3He-4He希釈冷凍機と超伝導マグネットを用いた。アウグスブルグ大学の大学院生と技術職員の支援のもと,実験を計画通りに遂行できた。
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Research Products
(32 results)