2023 Fiscal Year Research-status Report
水圧破砕によって誘発される地震のメカニズムの解明(国際共同研究強化)
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15KK0171
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
金 亜伊 横浜市立大学, 理学部, 准教授 (00633851)
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Project Period (FY) |
2020 – 2024
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Keywords | 誘発地震 / 水圧破砕 / 廃水注入 / 震源特性 / 応力降下量 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度前半は誘発地震のデータ十分確保できていなかったため、流体による誘発地震という観点で似ていると考えられる火山地帯における群発地震を用いて、深層学習を用いた地震の位相の検出及び、地震タイプの分類モデルを開発した。今後はこれらのモデルを人的活動による誘発地震データに適用し、その性能を評価したいと考えている。後半ではカナダ、アルバータ大学を訪問し、同州でのオイルサンド開発に伴う廃水注入による誘発地震データを取得した。当該地域では廃水注入開始から継続的に地震が群発的に発生しており、2022年11月30日に同州観測史上最大のM5.2の地震が発生した。そこで、当該地域で発生した地震活動と共にその応力降下量を推定し、注入量や注入レートとの関係を調査することで、誘発地震の特徴について検証した。解析ではアルバータ大学によって設置された10箇所の観測点で記録された、2022年12月6日-2023年4月13日に発生したM -1.97-5.04の2214個の地震記録を用いた。注入井の近くには、M5.2を発生させた断層ともう一つの断層が存在し、多くの地震はそれら2つの断層上のいずれかで発生しており、主要なクラスターを形成している。解析では、比較的大きいM2.5以上の16個の地震を対象とした。スペクトル比法を用いた解析の結果、本研究で求められた応力降下量は概ね1-10MPaとなり、テクトニックな地震と大差ない結果となった。以上より、解析対象とした地震はM5.2による応力擾乱によるものと考えられる。しかし廃水の注入は継続中で、震源位置の拡散が見られること、また注入量が大きく増加した2022年3月以降は地震活動が活発化していることから、廃水注入も地震活動に寄与している事が示唆される。今後はより小さい地震や他の地震計ネットワークを用い12月6日以前のデータを解析し、詳細な震源特性を調べる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
育児の関係で渡航がままならない状況が続いている。 オンラインでのコミュニケーションをとりつつ進めているが、進捗は遅れがちになってしまう。 今年度は研究に必要なデータを取得する事ができたのでスピードアップしたいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
アルバータ 大学の観測点で記録された地震データの連続記録の全データを入手したので、まずここからより多くの地震記録を吸い出すために今年度開発した深層学習による位相検測を試みる。 そこから震源再決定により新しく作成した地震カタログを用い、応力降下量を解析するデータを選定する。また、地震の発生様式をより詳しく検証するために相似地震を探し、その再来周期の変化から流体による非地震性すべりについて検証する。それらと廃水注入レートとの関係を比較することにより誘発地震の特性について調べる。またある程度大きな地震については断層面上における滑り量分布と応力降下量分布についても解析予定である。
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