2017 Fiscal Year Research-status Report
遍歴強磁性超伝導体における磁場誘起超伝導メカニズムの微視的解明(国際共同研究強化)
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15KK0174
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
徳永 陽 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 先端基礎研究センター, 研究主幹 (00354902)
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Project Period (FY) |
2016 – 2018
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Keywords | 核磁気共鳴 / 強磁性 / 超伝導 / 強磁性揺らぎ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ウラン化合物で発見された強磁性超伝導の発現メカニズムの実験的解明を目的とする。その手段として日仏トップレベルのNMR測定の技術を融合し、微視的観点から電子状態の解明を進めている。もともと超伝導は磁場とは相性が悪く、通常は超伝導体に強い磁場をかけていくと、最後には必ず超伝導状態が消失する。しかし本研究で対象とするウラン化合物URhGeでは、磁場によって一度消失した超伝導がさらに強い磁場をかけることで復活することが見出されている(磁場誘起超伝導)。この特異な超伝導の振る舞いは、強磁性揺らぎを利用した新しい超伝導機構の存在を直感的に示唆しており、磁場で安定化する超伝導機構の解明は、超伝導応用の可能性を大きく広げることになる。 研究代表者は本研究を実施するため、平成28年10月から平成29年7月までフランスのグルノーブルにある国立強磁場研究所に滞在し、同研究所のNMR研究グループと共同で、URhGe単結晶において極低温強磁場下での73Ge核の核磁気共鳴(NMR)測定を実施した。測定を行う高純度URhGe単結晶は隣接するCEAグルノーブル研究所の試料育成グループにより作成されたものを用いた。超伝導磁石に希釈冷凍機を組み込んでNMR実験を行い、17テスラ100mKという極低温強磁場でGe-NMR信号の観測に初めて成功した。さらにその信号を用いて磁場誘起超伝導が出現する10-13テスラの磁場領域での磁気揺らぎの特性を調べた。その結果、磁場誘起超伝導が出現する400mK以下の温度領域においても強い磁場誘起三重臨界揺らぎが存在することを明らかにした。このことはウランの5f電子スピンの揺らぎが磁場誘起超伝導の引力の起源として働いていることを強く示唆する重要な結果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、平成28年10月から平成29年度7月までフランスのグルノーブル国立強磁場研究所に滞在し強磁性超伝導体の研究を進めた。隣接するCEA グルノーブル研究所の試料育成グループにより作成された73Ge同位体を濃縮したURhGe純良単結晶を用い、17テスラ100mKという極低温強磁場で73Ge-NMR研究を行った。帰国後は当初の計画通りゼロ磁場下でのGe-NQR実験を実施している。これまでに単結晶試料において初めて73Ge-NQR信号の観測に成功している。以上のことから本研究課題はおおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
フランス滞在中は主に超伝導磁石と希釈冷凍機を組み合わせた極低温高磁場下の実験を行ったが、今後は主に国内でゼロ磁場下でのGe-NQR実験を実施する。このNQR実験は磁場を必要としないので国内の既存の設備を用いて実施することができる。強磁場下とゼロ磁場下での磁気揺らぎに関する情報を比較することで、磁気ゆらぎを媒介とした強磁性超伝導の発現メカニズムの解明を進めていく。さらに最近、URhGeの超伝導がわずかな一軸圧力によりその転移温度を大きく上昇させることが発見された。そのメカニズム解明のため一軸圧下でのNMR研究の実施も検討している。
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Research Products
(8 results)