2016 Fiscal Year Research-status Report
モノアルキル鎖の棒状液晶分子を活用した高品質な有機トランジスタ材料の開発(国際共同研究強化)
Project/Area Number |
15KK0183
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
飯野 裕明 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 准教授 (50432000)
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Project Period (FY) |
2016 – 2018
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Keywords | 液晶性有機半導体 / モノアルキル鎖 / スメクチックE相 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は、本国際共同研究の対象となるモノアルキル鎖を有する液晶性有機半導体の基礎的な特性の評価を、事前に日本国内で評価を行い、期間が限られている国際共同研究先での研究が円滑に進むように入念に準備を行った。具体的には、研究目的である高特性を示すスメクチックE(SmE)相を示す有機半導体材料の選定、平坦・均一性を有する薄膜を作製するプロセスの選定、ソース・ドレイン電極との低コンタクト抵抗の実現のためのデバイス構造の選定を行った。材料の観点では高い溶解度を有しながら高移動度を実現できる誘導体として、極性溶媒であるアニソールへの溶解度が高い、側鎖部にアルキルアルコキシ誘導体を有する材料の評価を行い、高い溶解度を有しながら高移動度を実現する材料の候補が見つかった。プロセスの観点からは、スピンコート法に以外にも、室温でのドロップキャストでの製膜においても、液晶性の活用を行うことで再結晶化を抑制し平坦性の優れた多結晶薄膜の作製に成功した。このようなプロセスの違いによる薄膜の構造変化を国際共同研究で明らかにしていきたい。さらに、低コンタクト抵抗の実現にはボトムコンタクト構造におけるペンタフルオロベンゼオンチオール処理を行った金電極の採用により、150Ω㎝の低抵抗化が実現した。 それぞれの結果は、国際共同研究先に持ち込むのに、適切な特性を示しており、平成29年度からの現地での共同研究が滞りなく推進できるものと期待される。それに加えて、相手側との具体的な調整および、学内の不在時における学内業務に関する調整も完了した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度中の国際共同研究先への渡航は実現できていないものの、渡航先での共同研究する前の事前検討をほぼ完了させることができ、具体的な共同研究を行う手順が整った。そのため、おおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度からは、実際の試料を持ち込み、本目的の国際共同研究を推進する。溶液プロセスで作製した極薄膜の多結晶に対して、結晶構造解析をベルギーのYves Geerts教授とともに行う。複数の試料で評価を行うことで、分子構造やプロセスによる構造の関連を評価する。期間としては、平成29年度の9月から11月まで現地に渡航し共同研究を実施する。さらに、この液晶性の有機半導体薄膜の伝導機構の解明と状態密度の評価を英国のHenning Sirringhaus教授とともに行う。この評価に行う際に、平成28年度に検討したデバイス構造であるソース・ドレイン電極との低コンタクト抵抗化は非常に重要であり、円滑に研究が推進できるものと考えられる。期間は平成30年の1月から6月を予定している。
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