2017 Fiscal Year Research-status Report
モノアルキル鎖の棒状液晶分子を活用した高品質な有機トランジスタ材料の開発(国際共同研究強化)
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15KK0183
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
飯野 裕明 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 准教授 (50432000)
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Project Period (FY) |
2016 – 2019
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Keywords | 液晶性有機半導体 / モノアルキル鎖構造 / バイレイヤー結晶構造 / スメクチックE相 |
Outline of Annual Research Achievements |
有機トランジスタ特性に大きな影響を与えるゲート絶縁膜界面付近の液晶性有機半導体分子の配向状態および結晶構造をベルギー・ブリュッセル自由大学のYves Geerts教授およびMichele Sferrazaa教授とXRD測定を用いて評価した。Siウエハー上にモノアルキル鎖の液晶性有機半導体薄膜を液晶相温度でスピンコートすることにより製膜し、面外低角XRD測定および、面内広角XRD測定を行った。まず、X線反射率測定より、膜の均一性、および膜厚を評価したところ、液晶相経由で作製した薄膜は均一性が高いこと、さらに分子長に対応した極薄膜を段階的に作製できることが分かった。その薄膜の低角面外XRD測定より液晶相由来の1分子構造を1ユニットとしたモノレイヤー結晶構造から、熱アニールを行うことで、コア部が向かあった2分子構造を1ユニットとしたバイレイヤー結晶構造に結晶転移することが明らかになった。さらに、膜厚変えた薄膜の評価および面内XRD測定を通じ、バイレイヤー結晶構造に転移した薄膜は、基板界面付近から単結晶と同じ結晶構造を形成していることが示唆され、このことがアニール後に高移動度が実現している要因の一つであると考えられた。 このモノアルキル鎖の液晶性有機半導体薄膜の伝導機構を明らかにすべく、平成30年度の英国・ケンブリッジ大学のHenning Sirringhaus教授との共同研究の実施に向けて、デバイス作製プロセスを確認した。フォトリソグラフィーを利用するプロセスにおいて、基板や電極上の残渣フォトレジストの除去が重要であり、酸素プラズマ処理が有効に働くことがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年9月から11月のベルギー滞在により、基板界面付近の分子の配向状態、結晶性に関して多くの知見が得られた。このことは、今後安定的な2分子構造を1ユニットとしたバイレイヤー結晶構造を形成させる条件が確立した。また、平成30年5月からの英国での共同研究実施のための、準備として1月から3月まで英国に滞在し、必要な準備が完了した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年5月から8月までの英国・ケンブリッジ大学での滞在で、低温測定およびHall測定を通じて、モノアルキル鎖の液晶性有機半導体の伝導機構を評価する。また、アニール前後の評価を通じ、モノレイヤー結晶構造とバイレイヤー結晶構造との違いを評価する。
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Research Products
(7 results)