2016 Fiscal Year Research-status Report
バルク系ホスト-ゲスト化学が拓く次世代超分子マテリアルの創成(国際共同研究強化)
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15KK0185
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
生越 友樹 金沢大学, 物質化学系, 教授 (00447682)
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Project Period (FY) |
2016 – 2018
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Keywords | ピラー[n]アレーン / 環状ホスト液体 / π共役蛍光分子 / 濃度消光 / 蛍光寿命 |
Outline of Annual Research Achievements |
有機エレクトロニクス材料には、液晶ディスプレイなどの応用を見据えると、溶媒を用いないバルク状態において高蛍光発光を示す材料が望まれている。本研究では、研究代表者がこれまでに開発した、環状ホスト液体が100%近い高効率でホスト-ゲスト錯体形成が可能であることを利用して、π共役蛍光分子の高濃度溶液における強蛍光発光材料の創製を目指す。π共役蛍光分子は、希薄溶液においては非常に強い蛍光発光を示すが、濃厚溶液においては分子間同士で凝集してしまい、濃度消光を引きおこす。環状ホスト液体を用いれば、濃度を極限に高めたバルクにおいても、ゲスト分子であるπ共役分子はホスト分子に常に取り込まれた状態となる。それによりπ共役蛍光分子は、通常は濃度消光するような濃厚状態においても、孤立分散化され、非常に強い蛍光発光を示す液体材料となると期待される。これまでの実績として、室温で液体となる柔軟なトリエチレンオキシド鎖を導入した環状ホスト液体ピラー[n]アレーンの大量合成に成功した。さらに、π共役蛍光分子としてピラー[5]アレーンに取り込まれるオリゴフェニレンエチニレンを用い、環状ホスト液体に直接溶かし込み、蛍光測定を行った。その結果、通常は濃度消光するような高濃度状態においても、孤立分散化され、非常に強い蛍光発光を示す液体となることが分かった。渡航を行うH29年度に、渡航先のアムステルダム大学にてこの材料の光特性の詳細について測定を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
室温で液体となる柔軟なトリエチレンオキシド鎖を導入した環状ホスト液体ピラー[n]アレーンの大量合成に成功した。さらに、予備的な実験として、π共役蛍光分子として、オリゴフェニレンエチニレンを用い、環状ホスト液体に直接溶かし込み、蛍光測定を行ったところ、通常は濃度消光するような高濃度状態においても、孤立分散化され、非常に強い蛍光発光を示す液体となることが分かった。このことから本研究は、当初の研究計画以上に順調に進んでいるといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
渡航を行うH29年度に、これまでに得られた材料の光特性の詳細について、渡航先のアムステルダム大学にて測定を行う。さらには得られた光物性に基づき、材料設計を再度行うといったフィードバックプロセスにより、革新的なバルク光材料を創出を目指す。
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Research Products
(2 results)