2017 Fiscal Year Research-status Report
バルク系ホスト-ゲスト化学が拓く次世代超分子マテリアルの創成(国際共同研究強化)
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15KK0185
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
生越 友樹 金沢大学, ナノ生命科学研究所, 教授 (00447682)
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Project Period (FY) |
2016 – 2018
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Keywords | ピラー[n]アレーン / ロタキサン / バルク / りん光 / シャトリング |
Outline of Annual Research Achievements |
オランダアムステルダムへと渡航し、アムステルダム大学ファントホッフ機構A. M. Brouwer教授との国際共同研究を8カ月間にわたり行った。 バルク系ホスト-ゲスト化学を用いた発光材料に関する共同研究を行った。 また、ロタキサン中におけるリング分子のシャトリング特性についても評価を行った。実験化学からは、温度変化NMRからステーション間のシャトリング速度を算出した。その結果、大変興味深いことにステーション間をつなぐリンカーの長さに依存しないシャトリング特性が見られた。この実験事実を解明するために、A. M. Brouwer教授がMolecular Dynamics計算を行った。その結果、ステーション間をシャトリングする障壁は非常に低く、リンカー末端に小さな障壁が存在していることが分かった。この障壁がステーション間をつなぐリンカーの長さに依存しないシャトリング特性につながっていることが分かった。 またバルクのポリスチレンスルホン酸を高度に脱水すると、長寿命りん光を示すことを見出した。りん光寿命は室温大気下で1秒を超え、高分子系りん光材料の中では、最も長いものであった。高分子間でスルホン酸基を介した分子間水素結合が働き、それにより高分子鎖の運動性が低下し、りん光を示したことが明らかとなった。事実、水分子を吸着させると、水素結合が切断されるためにりん光発光は消光した。A. M. Brouwer教授とのディスカッションによりそのメカニズムを解明することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
新たにバルクのポリスチレンスルホン酸を高度に脱水すると、長寿命りん光を示すことを見出した。これは当初には全く予想していなかった結果である。
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Strategy for Future Research Activity |
1)バルクのポリスチレンスルホン酸のりん光発光の応用例として、複合材料を合成する。ガラスとの複合化、高分子との複合化を試みる。 2)ステーション間に光により異性化するアゾベンゼンを導入する。アゾベンゼンの異性化により、シャトリング速度がどのように変化するかを明らかとする。
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Research Products
(5 results)