2016 Fiscal Year Research-status Report
機能可変粒子の創製とそれを用いた微粒子構造体の制御(国際共同研究強化)
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15KK0187
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
南 秀人 神戸大学, 工学研究科, 准教授 (20283872)
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Project Period (FY) |
2016 – 2017
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Keywords | イオン液体 / グラフェン / リビングラジカル重合 / 自己組織化粒子 / 水素結合 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,基課題をより加速させるために,一次元鎖状自己組織化させるビルディングブロック粒子としての微粒子に新たなる機能を付与する方法を検討した。具体的には,ミクロンサイズの粒子径の揃った高分子微粒子自体に導電性や光機能を有するナノカーボンの一つであるグラフェンを複合化させる検討を行った。グラフェンは層間相互作用が強く,高分子等のマトリックスに単層で分散させることは困難であるが,イオン液体がナノカーボンとの親和性が高いことに着目し,ポリイオン液体と汎用ポリマのブロックポリマーが粒子内分散安定剤として働くことを期待し,ブロックポリマーで安定化されたグラフェン存在下で汎用ポリマー粒子の合成を行った。ミクロンサイズの粒子径の揃った粒子を得るために分散重合を選択し,ブロックポリマーについては,共同研究先であるUniversity of New South Wales(UNSW)にて制御リビングラジカル重合を習得し,合成を行った。若干の追加実験が必要であるものの汎用ポリマー粒子内に複合化されている事が確認され,目的を達成出来る可能性は十分にある。さらに上記の研究だけでなく,共同研究機関と上記プロジェクトとは別に共同研究を立ち上げ(酸化グラフェンを分散剤とした成膜可能な複合粒子の合成),論文投稿までおこなった。また,滞在中に参加したオーストラリアの国内学会である36th Australasian Polymer Symposiumにおいては,Keynote講演者として指名され,研究成果が注目された。その講演がきっかけとなり, UNSWだけでなく,シドニー大学,タスマニア大学に招待され,共同研究の可能性について議論をするなど,(すでにタスマニア大学との共同研究を始めている),研究計画が順調に推移いるだけでなく,国際化という意味で十分な成果を得られたと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目的である分散重合によりグラフェンとの複合粒子の可能性を示すことが出来ており,さらに,別の国際共同研究への発展にも期待が出ており,本研究の目的は達成しているといえる。ただ,実験機器の納入の遅延など,実験予定がずれ込む結果となり,目的を遂行するためにH29年度への延長を申請した。
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Strategy for Future Research Activity |
現在のところ,研究は順調に進展しているといえる。ただ,得られた粒子の構造及び物性を評価した後,指針を計画する必要があり,その評価の一部は日本での解析が必要となっていた。今回,電子顕微鏡サンプル作製のための真空ポンプの納期が遅延したため,実験予定がずれ込む結果となり,目的を遂行するためにH29年度への延長を申請した。オーストラリアでの研究を継続するために,大学院生を派遣し,本研究の確実な実施を行ってる。 今後の研究の推進方策としては,神戸大学において,ポリイオン液体複合粒子の合成を検討しており,オーストラリアのUNSWについては,グラフェンとの複合化を推進することとしている。打ち合わせは定期的に,e-mailやスカイプなどで行っており,必要であれば渡航しての打ち合わせも行う。
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