2016 Fiscal Year Research-status Report
傾斜磁区を有する高感度・超小型磁界センサ開発と局所領域の微小磁界計測への応用展開(国際共同研究強化)
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15KK0193
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
菊池 弘昭 岩手大学, 理工学部, 准教授 (30344617)
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Project Period (FY) |
2016 – 2018
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Keywords | 磁界センサ / 電磁非破壊評価 / バルクハウゼンノイズ / 渦電流 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、局所的な電磁非破壊評価技術開発のために、そのキーデバイスである磁界センサの小型化についての検討をすすめるとともに、既存のセンサを用いて、非破壊評価技術についての基礎検討を行った。また、次年度に渡航して研究を進めるための準備として滞在予定の研究機関の研究者と連絡を密に行った。得られた成果を以下にまとめる。 1. 磁性体部の形状を楕円体にしたり、三角形状にして電極配置を工夫することにより、100μm程度の長さまで小型化してもセンサ動作し得る素子を作製できた。また、これまでは反磁界の影響で動作しなかった30 μm長の素子においても磁界センサ動作の可能性は確認できた。ただし、30μm素子においては、より感度向上やバイアス磁界の低減のために検討が必要である。 2. 磁界センサを用いて、磁束漏洩法により、インコネル合金、オーステナイト系ステンレス合金SUS304の鋭敏化評価の基礎的実験を行い、鋭敏化に基づく強磁性化の様子を検出可能なことを明らかにした。また、磁束漏洩法により微細欠陥評価の可能性についても実験的に検討し、100μm程度の欠陥は現在使用している磁界センサで可能なことを示すとともに、磁化曲線利用による材質評価と組み合わせることにより、微小欠陥と材質劣化の同時評価の可能性を示した。 3. 渡航後の実験に関して滞在先機関の研究者と滞在後の研究の進め方や必要装置の仕様について議論を行った。議論については、一度は参加した国際会議の場で行い、その後は頻繁にe-mailでやり取りを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
電磁非破壊評価技術に関する基礎検討は順調に推移しており、平成29年度から滞在する研究機関との連絡も密に行っているため。ただし、可能であれば当初滞在先研究機関で開発する装置に組み込む予定であった、薄膜磁界センサについては、装置トラブル等で作製が間に合わなかったため、磁界センサは現状入手可能なもので代用する。このことによるシステム全体の開発を遅延させることはない。一方で、薄膜磁界センサあるいは小型磁界センサについても同時進行で開発を継続する。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年4月よりドイツのフラウンホーファー研究所(IZFP)に滞在して、電磁非破壊評価システムの構築に努める。一方、小型・高感度な磁界センサについては、大学院生が引き続き研究を継続する。電磁非破壊評価システムに用いる磁界センサは、現状で高感度(ナノテスラオーダー検出)のものと小型(サイズがμmオーダー)ものを準備する。これらのセンサを開発装置に組み込み、局所領域評価における問題点の洗い出しをIZFPにて行い、その解決策についてIZFPの研究者の協力を得ながら検討を進める。微小欠陥の検出において、30μm径程度の欠陥の検出を目標としており、局所的に強磁性化した部分の評価においては、サブμm程度の空間分解能が要求されるので、その検知が目標となる。一方、磁界センサの小型については、ザールラント大学に滞在して滞在先の研究室の指導を仰ぐ。ザールラント大学では、一部持参した薄膜素子において磁区観察を行うことにより、小型・高感度化の方策を探るとともに、ナノワイヤなどを用いた小型化の可能性についても検討する。
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