2017 Fiscal Year Research-status Report
傾斜磁区を有する高感度・超小型磁界センサ開発と局所領域の微小磁界計測への応用展開(国際共同研究強化)
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15KK0193
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
菊池 弘昭 岩手大学, 理工学部, 准教授 (30344617)
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Project Period (FY) |
2016 – 2018
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Keywords | 磁界センサ / 電磁非破壊評価 / バルクハウゼンノイズ / 渦電流 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は4月より、ドイツ・フラウンホーファー研究所非破壊検査部門(IZFP)に半年間滞在し、磁界センサを利用した電磁非破壊評価システムについて共同研究を実施した。また、ザールラント大学のハルトマン教授の研究室にも行き来して、センサ素子の小型について検討を行った。得られた成果を以下にまとめる。 1. 磁界センサを組み込んだスキャニングシステム装置を作製し、インコネル合金材や微小欠陥を含む鋼材の非破壊評価を実施した。インコネル合金材については、高感度センサの利用により、合金内の複雑な磁場分布の測定を可能にした。鋼材については、30マイクロメートルの微小欠陥の検出を可能にした。ここでは、磁界センサとしてグラジオメータを用いた。一方、高感度センサを利用した場合、100マイクロメートル程度の検出に留まり、これは強磁場が印加でないことと、センサの小型化が不十分なことによる。この点の解決が次年度の課題として残された。 2. IZFPで開発している鋼材の材質評価システムと申請者の技術を用いて、同一試料の評価を行い、さらなる高度化した評価手法について検討した。得られた実験結果に基づき、最適手法については次年度検討する。 3. 申請者の作製した素子を持参し、ザールラント大学にて素子の動作解明の検討を行った。MFMにより非常に狭い磁壁幅の確認を行い、理論から導かれる結果と一致する可能性を示した。また、別材料の積層構造素子を作製し、基礎特性を評価した。この素子は申請者が帰国時に、岩手大学に持ち帰り、次年度も素子特性の検討を継続する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
協力機関に滞在し共同研究を実施し、当初目標の一部を達成できたため。具体的には0マイクロメートルの微小欠陥の検出を可能にした。
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Strategy for Future Research Activity |
研究実績における1-3の成果については、論文投稿、学会発表を本年度内に実施する。また、1-3で得られた課題について今年度継続して解決策の検討を実施する。研究の継続にあたり、IZFP, ザールラント大学の研究者とは連絡を密にとり、必要に応じて短期で現地訪問を実施する。鋼材の微小欠陥検出に関しては、当初目標の30マイクロメートルの欠陥検出には成功したが、SN比の改善など残されているので、今年度実施する。センサ素子についてもより小型化を図り、システムに組み込む。
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