2018 Fiscal Year Research-status Report
遡上帯-砕波帯-沖浜帯における底質の鉛直再配分および岸沖移動動態メカニズムの解明(国際共同研究強化)
Project/Area Number |
15KK0202
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
鈴木 崇之 横浜国立大学, 大学院都市イノベーション研究院, 准教授 (90397084)
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Project Period (FY) |
2016 – 2019
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Keywords | 底質岸沖移動動態 / 沿岸流 / 底質分級 / 遡上波 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は遡上域から沖浜帯までを研究対象領域とし,現地観測結果に基づいた,前浜に形成されるバームからバー沖側端までの底質移動の動態解明,および鉛直混合メカニズムの解明を目的としている. 渡米中には,H29年度までに波崎海岸において実施した計4回の蛍光砂とコアサンプリングを用いた底質の鉛直・岸沖動態把握に関する現地観測のデータ解析を行った.アウターバーの有無が底質の岸沖移動動態に与える影響に関しては,現地観測データに加え,数値モデル(XBeach)による検討を開始した. 始めに,波崎海岸の長期観測データを用い,数値モデルにおいて用いるパラメータの変動特性について検討し,それらと現地地形データから算出される地形形状パラメータとの関係に関する検討を行った.こちらは現在とりまとめ中である.また,堆積性波浪場での現地観測データを用い,インナーバーとアウターバーの形成メカニズムを検討し,これら両領域の堆積にはどの領域から移動してきた底質が大きく寄与しているのかについて検討を行った.加えて,底質動態場に影響を与える沿岸流速に関した解析を行い,沿岸流速推定モデルの開発,および沿岸流速値の超過確率と潮汐との関連性に関する2テーマについて検討を実施した. 一方,オレゴン州立大学所有の大型水路を用いた底質移動動態実験に関しては,他研究者らのプロジェクトの遅れ,先方の研究予算の問題等から開始時期が1年延期となった.そのため,本基金の期間を延長し,H31年度中に短期間渡米し,共同実験を行う予定である.大型水路実験が延期となったことから,別途,小型水路を用いた遡上波による底質分級に関する実験を行った.解析では,細礫の分布に対して及ぼす細砂の影響の検討を行い,細砂が加わるほど細礫はより遠方に運ばれるものの,そのピーク位置は変化しないことがわかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H29年度までに波崎海岸において実施した計4回の現地データの詳細検討を行い,アウターバーの有無による岸沖底質移動動態の変化については,数値計算を加えた検討を実施中である.また,沿岸漂砂に大きく寄与する沿岸流速に関する検討については,沿岸流速岸沖分布推定に関する提案式を構築し,また,超過確率についても検討を行い,アウターバーの有無にかかわらず,潮汐,および岸沖方向位置が沿岸流速に大きく寄与していることを示した.これら両検討内容に関しては,国際Journalへの投稿を行った.底質鉛直混合に関する検討について引き続き実施中である. 一方,予定していた大型水路を用いた室内実験に関しては,先方の研究予算,他の研究者らによる実験の遅れ等からH31年度に延期となった.大型水路は複数の研究グループにて共同利用されていることから,引き続き共同研究者らと共に検討内容等を議論していく.大型水路での実験が延期されたため,小型水路を用いた底質分級に関する検討を実施し,解析を進めた.本実験では,細礫に着目した解析となったが,今後は細砂,中砂,細礫,3者の相互関係について検討を行う. 研究計画に対し,検討項目により進捗に差があるものの,研究項目全体としてはおおむね順調に活動が行えている.研究解析については概ね順調に進み,関連論文として国際Journalへの投稿が4本,国内Journalへの投稿が3本と研究成果も出てきている.以上より,表記の達成度とした.
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Strategy for Future Research Activity |
波崎海岸においてH29年度までに実施してきた,底質移動動態に関する現地観測での各種取得データの詳細解析を数値計算も組み入れて進める予定である.特に,アウターバー有無による底質移動動態への影響に関しては,数値計算,室内実験を組み合わせた検討を実施する.また,現在利用している数値モデル(XBeach)は,固定パラメータによって砂の堆積性,侵食性を決定しており,変動パラメータとなっていない.このパラメータの特性についても把握する.加えて,現地観測にて得られたデータの解析に関しては,共同研究者との議論も加え,引き続き解析を継続する. 大型水路の実験に関しては,引き続き共同研究者らと議論し,実験の詳細を決定していくと共に,解析方針についても合わせて議論していくこととする.また,小型水路による底質分級実験に関しては,細礫の分布のみの解析であったことから,細砂も含めた検討,実験に使用する波浪場,底質粒径の組み合わせ等の検討を行うこととする. 鉛直混合に関しては,その岸沖分布,混合深さについて着目し,H28年度の以前の観測データ,既往研究のデータ等も統合すると共に,新規の室内実験を実施する.実験では,底質粒径が混合深度に与える影響に着目する. 論文執筆に関しては,各解析テーマについて適宜進めてゆくこととし,H31年度に関しても複数本投稿することを目標とする.
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