2016 Fiscal Year Research-status Report
高温超伝導テラヘルツ光源の時間領域コヒーレンス測定と元素置換による高強度化(国際共同研究強化)
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15KK0204
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
掛谷 一弘 京都大学, 工学研究科, 准教授 (80302389)
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Project Period (FY) |
2016 – 2018
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Keywords | テラヘルツ光源 / 時間領域分光 / 固有ジョセフソン接合 / 超伝導揺らぎ / パッケージ化 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、10月に交付申請を行って研究を開始し、3月2日からフランスに渡航し、3月29日に一時帰国し、4月7日に再渡航した。 渡航前の準備としては、フランスでの時間領域測定に用いる素子を複数作成し、発振を確認した。直線偏光が予想される素子と円偏光が予想される素子2種類を準備した。パリでは、わずか1か月での活動であるが、本研究の目的達成に必要な時間領域分光計の使用法を習得し、測定系の特徴を抽出するための測定として、超伝導体YBCO単結晶薄膜の透過測定を行った。その結果、アンダードープ試料に特有の強い超伝導揺らぎが観測された。本成果は8月にスウェーデンで開かれる第28回低温物理国際会議で発表予定である。 本研究でもう一つの目的としている高温超伝導体テラヘルツ光源の応用開拓に関して、以下の研究を行った。多彩な応用には、取り扱いのしやすさが重視される。この点に着目して、高温超伝導テラヘルツ光源をパッケージ化して、低温技術に詳しくないものでも、使えることが必要である。そのために、再現性が高く、熱的に安定したデバイスを作成した。具体的には、ポリイミドを接着剤として用いて、金属製の熱浴と一体となった2端子素子に相当するものを設計し、評価を行った結果、熱浴は発振特性の安定化をもたらすことが分かった。このデバイスを評価する装置が滞在先の研究室で使用できることも分かった。 この手法を、複数メサ同期発振現象に応用することで、1ミリワットを超える強力なテラヘルツ波の発信が容易になることが予想される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
パリのポスドク研究員の協力が得られたために、準備的な透過測定が順調に進み、国際学会で発表できる成果が出ている。
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Strategy for Future Research Activity |
パリの研究者と協力して、夏までに以下の研究を行う。 1.無バイアス状態で、1ミリ程度まで収束したテラヘルツパルスを素子に当て、横ジョセフソンプラズマ共鳴の観測を行う。 2.テラヘルツ光源にマイクロ波で変調したバイアスを加え、それによるテラヘルツパルスの透過または反射強度の変調を観測する。 3.我々の研究室で単結晶化に成功したPb1212超伝導体について、ジョセフソンプラズマ共鳴を行う
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Research Products
(2 results)