2016 Fiscal Year Research-status Report
体積変化に起因したコンクリート中不均一損傷がRCはりのせん断特性に与える影響評価(国際共同研究強化)
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15KK0208
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
三木 朋広 神戸大学, 工学研究科, 准教授 (30401540)
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Project Period (FY) |
2016 – 2017
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Keywords | せん断特性 / 不均一損傷 / 画像解析 / ハイスピードカメラ / 超高強度繊維補強セメント系材料 / ASR / ポアソン比 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究基課題の若手研究(A)では,劣化したコンクリート構造物の性能評価に向けて、体積変化に起因したコンクリート中不均一損傷がRCはりのせん断特性に与える影響を系統的に調べてきた。その成果を展開するため、本研究では、既存コンクリート構造物の耐震性能の評価、ならびに被災回復性の把握の高精度化を目指し、材料劣化した構造と高強度コンクリートを用いた構造の性能評価を試みている。 本年度は、まず材料の力学的特性や破壊進展挙動を把握するための要素実験を神戸大学にて実施した。ここでは、画像解析を用いて平面領域を対象としたひずみ計測を行い、コンクリートのひび割れの進展と構造部材が破壊に至るまでの挙動と関連づけることができた。本年度得た成果は以下の通りである。 成果(1) 超高強度繊維補強セメント系材料の非常に急激に進展する破壊挙動を捉えることを目的として、ハイスピードカメラとデータロガーを用いた破壊現象計測を実施した。この材料の急激に進展する破壊挙動を、実験・撮影環境を工夫することで破壊に至る瞬間の画像とセンサデータを得ることに成功した。また、荷重データから、圧縮強度が高いとエネルギー解放速度が大きくなる傾向があるが、圧縮強度が異なると繊維補強の効果によって異なる挙動を示すことがわかった。今後の課題として、計測機材の応答周波数を考慮するとともに、微弱なノイズを除去する必要があることがわかった。 成果(2) ASRによってひび割れが生じたコンクリートの圧縮応力下における力学特性を評価することを目的として、圧縮載荷試験において画像解析を用いてひずみ計測を実施した。まず、画像解析を用いて圧縮応力下のひずみを妥当な精度で計測できることを示した。さらに、ASRが生じたコンクリートのポアソン比に相当する縦横ひずみ比を計測して、その値の圧縮応力下での変化、特に載荷軸直交方向ひずみの推移を把握することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の目標であった「材料の力学的特性や破壊進展挙動を把握するための要素実験の実施、ならびに画像解析による測定精度の検証」は神戸大学における実験により、ほぼ計画通り達成することができた。得られた結果のうち、先行した成果をまとめた論文をJCI年次論文集に投稿することができた(現在、査読審査中)。また、関連研究の「世界最高レベルの圧縮強度を有する超高強度繊維補強コンクリートの圧縮破壊挙動の高速度計測」について、平成28年度土木学会関西支部年次学術講演会優秀講演者を受賞しており、その内容について評価を受けている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、本年度後半で行ってきた、実施予定の実構造における性能評価手法の適用範囲の拡大に向けて、実大に近い大型の供試体を対象として、画像解析対象の広域化、動的挙動の評価への展開の実用化の可能性を検証するための情報収集を引き続き実施する。共同研究者である、現在渡航しているカリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)のBenson Shing教授は、これまで石造構造物の地震時挙動の把握に向けた検討を行っており、本課題による共同研究によって、本研究で開発を進めている画像解析によるひび割れなどの損傷を捉えることを試みる。 最終年度であるため、昨年度の成果を加えて研究総括し、コンクリート中の微細損傷がひび割れ進展挙動に与える影響について、微視構造的破壊力学に基づく考察を加える。最終的には、既存コンクリート構造物の耐震性能の評価、ならびに被災回復性の把握の高精度化とともに、微視構造的破壊力学に基づくコンクリート部材のせん断耐力の評価法を提案し、コンクリート構造の合理的なせん断設計の新たな方向性を提示すること目指す。
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