2016 Fiscal Year Research-status Report
インドネシア主要都市で急成長する中間層を対象とした集合住宅のパッシブクーリング(国際共同研究強化)
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15KK0210
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
久保田 徹 広島大学, 国際協力研究科, 准教授 (80549741)
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Project Period (FY) |
2016 – 2018
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Keywords | 省エネルギー / パッシブクーリング / 高温多湿気候 / 東南アジア / 基準化 / インドネシア / 国際研究者交流 / 自然換気 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,平成29~30年度にバンドンのインドネシア人間居住研究所に長期滞在し(合計14ヶ月),現地の実験施設を用いた実証実験を行い,インドネシアの中間層向け民間集合住宅を対象とした省エネルギー基準を共同で開発し,その基準を既存の集合住宅設計ガイドラインに盛り込むことを目的とする。平成28年度は,渡航先機関を短期訪問するなどして来年度以降の共同研究の準備を行った。具体的な成果は下記のとおり。 ・基課題の基盤研究(C)の総括として,中間層向け集合住宅の総合的なパッシブクーリング手法を試案した。ここでは,寝室における部分冷房を基本とし,昼間と夜間で建物外皮の仕様を変える提案とした。建物中心にヴォイドを設け,特に昼間は風通しを重視したすまいとした。また,日射遮蔽を徹底するため,ベランダを配し,そこにガラリ窓を設けた。エアコンを使用する寝室では,出来るだけ気積を小さくし,高気密・高断熱化を図り冷房効率を高めた。 ・平成29年3~4月にインドネシア人間居住研究所を訪問し,上記の試案を基に共同研究の打ち合わせを行った。ここでは,同研究所の研究員8名のほか,インドネシア主要大学に所属する共同研究者9名など合計20名が集まった。本研究を大きく6つの分科会に分け,それぞれの構成員を決めた。また,省エネ基準化までのロードマップを定めた。 ・分科会は,(1) Fundamental site analysis, (2) Occupant's behavior, (3) Thermal comfort, (4) Health: Indoor air quality, (5) Safety, (6) Design and constructionの6つのグループで構成される。 ・実験施設(4階建ての集合住宅型の実験住宅)の建設予定地をスマランに定めた。上記のインドネシア滞在時に建設予定地を視察し,周辺状況を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の予定よりも早く総合的パッシブクーリング手法が試案でき,さらに,それを国際共同研究者に対して発表し,具体化に向けた準備を行うことができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は,6つの分科会ごとに研究を推進し,既存集合住宅の省エネ改善案を作成する。長期滞在までの前半5ヶ月間は,現地研究者とスカイプを用いて定期的に打ち合わせを行う。同年9月より長期滞在を開始し,分科会ごとの共同研究を一層推進させ,それらのすべての成果を集合住宅の省エネ改善案に盛り込む。各分科会で検討する主な内容は下記のとおり。 ・対象とする中間層向け集合住宅の目標年(2030年)における建設コストと分譲価格を予測する。以下では,ここで設定する条件内で省エネ方法を検討する。また,居住者の窓開け行動やエネルギー消費構造をアンケート調査によって明らかにする。また現地調査によって,実験住宅建設予定地の地盤と騒音レベルの実態を把握する。 ・CFD解析によって,集合住宅内の熱環境シミュレーションを行い,①建物熱容量,②換気量,③天井高によって熱的快適性を基準化する。さらに,同様のCFD解析によって,室内の換気量とヴォイドの関係を明らかにする。また,派遣先機関の敷地に簡易実験施設を建設し,そこで建物外皮の開発を行う。 ・バンドンとジャカルタの既存集合住宅を対象にアンケート調査と簡易実測を実施し,室内の空気質と健康被害に関する実態を把握する。簡易実測では,ホルムアルデヒドなどの揮発性有機化合物やカビ・ダニなどのアレルゲンを対象とする。 ・建物の防火と耐震に関するシミュレーションを現地研究者と共同で行い,省エネ基準を策定する際の基礎的データを得る。さらに,インドネシアの既存のグリーン建築評価基準を精査し,中間層向け集合住宅を対象とした基準に改善する。 ・平成30年度は,後半7ヶ月に派遣先の人間居住研究所が所有する省エネ実験住宅を用いた実証実験を行い,省エネ基準を同研究機関と共同で策定する予定である。
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Research Products
(3 results)
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[Journal Article] Impacts of land use changes from the Hanoi Master Plan 2030 on urban islands: Part 1. Cooling effects of proposed green strategies2017
Author(s)
Kubota, T., Lee, H.S., Trihamdani, A. R., Phuong, T.T.T., Tanaka, T., Matsuo, K.
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Journal Title
Sustainable Cities and Society
Volume: 33
Pages: 295-317
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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