2016 Fiscal Year Research-status Report
ナノ空間による錯体型水素化物の水素吸蔵放出反応の制御とその原理解明(国際共同研究強化)
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15KK0212
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
李 海文 九州大学, 水素エネルギー国際研究センター, 准教授 (40400410)
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Project Period (FY) |
2016 – 2018
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Keywords | 水素化物 |
Outline of Annual Research Achievements |
カゴ状B12H12陰イオンを持つ錯体型水素化物M2(B12H12)nは高温相への相変態に伴い、イオン伝導性が急激に増加し、安全性・高エネルギー密度・長寿命等の優れた特性を持つ全固体二次電池の固体電解質として期待でき、水素化物の新規物性として大変注目されている。 今年度では、国際共同研究の研究計画および海外共同研究者への訪問計画について、海外共同研究者と数回の打ち合わせにより策定した。また、LiとKからなるダブル金属ドデカボレートLixKy(B12H12)nの合成について、化学組成や合成温度や時間などの最適化を行うことによって、新規化合物の作製を試みた。 市販のLiBH4、KBH4およびB10H14を原料とし、LiBH4とKBH4のモル比を2 : 1、1.5:1と1:1で変化させ、均一混合した後、熱処理を施すことにより試料の合成を行った。得られた試料の粉末X線回折プロファイルにおいて、単相のLi2B12H12およびK2B12H12と異なる回折パターンが観測された。また、11Bの固体核磁気共鳴スペクトルでは、―15.5 ppm付近で[B12H12]2―に帰属できるケミカルシフトが確認された。これらのことから、LiKB12H12の合成が成功したと考えられる。さらに、出発原料であるLiBH4とKBH4のモル比に依存せず、いずれの試料においてLiKB12H12に同定できる解説パターンが確認された。熱処理温度の最適化を行った結果、350℃付近は純度の高い試料の合成に適していることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国際共同研究の研究計画および海外共同研究者への訪問計画を順調に調整できた。さらに、新規化合物であるLiとKからなるダブル金属ドデカボレートLixKy(B12H12)nの合成に成功し、合成条件の最適化を行った。上記の研究成果から、本年度の研究はおおむね順調に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、海外共同研究者と緊密に連携しながら、得られたダブル金属ドデカボレートLixKy(B12H12)nの結晶構造の解析およびそのイオン電導特性を評価する。さらに、多様な異なるイオン半径・価数の2種類の陽イオンからなる (MxM’y)zB12H12等を合成し、そのイオン伝導性を詳細に調査する。また、陽イオンの化学組成比・イオン半径・価数と(MxM’y)zB12H12のイオン伝導性との相関を明らかにする。
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