2017 Fiscal Year Research-status Report
ナノ空間による錯体型水素化物の水素吸蔵放出反応の制御とその原理解明(国際共同研究強化)
Project/Area Number |
15KK0212
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
李 海文 九州大学, 水素エネルギー国際研究センター, 准教授 (40400410)
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Project Period (FY) |
2016 – 2018
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Keywords | 水素化物 / 水素貯蔵 / イオン伝導 |
Outline of Annual Research Achievements |
カゴ状B12H12陰イオンを持つ錯体型水素化物M2(B12H12)nは、高温相への相変態に伴い、イオン伝導性が急激に増加し、安全性・高エネルギー密度・長寿命等の優れた特性を持つ全固体二次電池の固体電解質として期待でき、水素化物の新規物性として大変注目されている。水素化物におけるイオン伝導機構の解明およびその特性向上を目指して、複数陽イオンあるいは陰イオンからなる新規錯体型水素化物の作製およびそのイオン伝導性の評価解析を目的とする。 今年度では、海外共同研究者の研究室に数回にわたって滞在し、複数陽イオンからなる新規錯体型水素化物を合成し、その結晶構造およびイオン伝導性を評価解析した。具体的には、ダブル金属ドデカボレートLixKy(B12H12)nの合成において、出発原料のLiBH4とKBH4の化学組成比に依存せず、LiとKのモル比が1:1となるLiK(B12H12)の生成が粉末X線測定結果から確認された。このLiK(B12H12)は軸比c/aが1.697である六方最密充填構造(HCP)を持ち、Li+とK+陽イオンは規則正しい配置を有することが分かった。また、昇温過程のin-situ粉末X線測定結果からは、170℃以上まで加熱すると、八面体サイトに余分なLiが占有することが示唆された。これまで報告されたLiNaB12H12やLi2B12H12、Na2B12H12等と異なり、室温から400℃まで昇温しても低温相から高温相への相変態が確認されなかった。LiKB12H12のイオン伝導率は温度の上昇に伴い急激に増大した。即ち、室温付近での10-6 S/cmから300℃での10-2 S/cmへ約4桁増大し、200℃以上の温度域において超イオン伝導性が確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の国際共同研究はほぼ計画の通り順調に実施することができた。ダブル金属ドデカボレートLiK(B12H12)合成の化学組成依存性を明らかにし、その結晶構造およびイオン伝導性を系統的に評価解析した。また、LiKB12H12において、200℃以上の温度域では、超イオン伝導性が確認された。上記の研究成果から、本年度の研究はおおむね順調に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、引き続き海外共同研究者と緊密に連携しながら、ダブル金属ドデカボレートLixNay(B12H12)nや複数陰イオンからなる新規錯体型水素化物の単相合成や結晶構造解析、イオン伝導性評価解析等を体系的に実施する。また、合成した新規錯体型水素化物のイオン伝導性と結晶構造や陽イオン・陰イオンのダイナミクスとの相関を詳しく検討する。
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Research Products
(11 results)