2016 Fiscal Year Research-status Report
Manipulation of inorganic nanosheets by molecular information of DNA(Fostering Joint International Research)
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15KK0217
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Research Institution | Fukuoka Institute of Technology |
Principal Investigator |
宮元 展義 福岡工業大学, 工学部, 准教授 (80391267)
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Project Period (FY) |
2016 – 2018
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Keywords | ssDNA / 小角散乱法 / ナノシート |
Outline of Annual Research Achievements |
当該研究課題の実施期間は2017年3月の1ヶ月間のみであったが、当該研究課題と関連する基研究(基盤C)として、シリル化法による六ニオブ酸ナノシート表面への蛍光分子付ssDNA修飾に関する実験を進めてきた。再現性の確認、IRスペクトルと蛍光顕微鏡による詳細な合成確認を行った結果、確証するデータを得る事ができた。 さらに、ssDNA修飾六ニオブ酸塩ナノシートコロイドに、末端に蛍光消光作用のあるBQH-1を付与した相補塩基配列をもつssDNAを添加する実験を行った。添加前では蛍光を示す物質が点在している像が観察されたが、15分後では、蛍光がほとんど観察されなくなった。このことより、ナノシート上に修飾された蛍光分子付ssDNAと、添加した消光分子付ssDNAがハイブリダイゼーションしたと考えられ、ssDNAが修飾されていることを強く裏付ける結果となった。ナノシート上に修飾されたssDNAの存在状態によっては、溶液中で進行するハイブリダイゼーションが阻害されることも懸念されていたが、問題なく反応が進行することが分かった。さらに、DNA修飾後のナノシートを溶媒に再分散させるための検討も進めており、修飾後に剥離剤を再添加して水に分散するなどの方法で、良好な分散体が得られる事が分かってきている。これらの検討結果より、今後のロジック応答等の実験を行うための前提が整ったと言える。 また、新たな修飾方法として、ホスファイト法によるDNA修飾のための予備検討を行った。六ニオブ酸塩、オクトシリケート、フルオロへクトライトなどを用いた実験を行い、現在結果を解析中である。オクトシリケート系では、DNA修飾自体の進行が、蛍光顕微鏡などによる解析で明らかになりつつある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
合成手法を確立したssDNA修飾ナノシートを用いて、①コロイド系のロジック応答の検討および、②ヘテロ積層構築の検討をおこなう予定であったが、ssDNA修飾ナノシートの合成確認や、溶媒への分散、ハイブリダイゼーション条件の検討に時間がかかり、一部にしか取りかかれていない。しかし、全体としては概ね順調で、見通しは立っている。 また、2017年6月からの渡航に向けて、渡航先との打ち合わせを進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
2017年6月から7月にかけて渡航し、先進的な構造物性解析の側面、無機ナノシート材料の多様化の側面、理論的側面の、3つの側面から、「無機ナノシートでDNAを操る」という基研究を発展させるための研究をすすめる。 先進的な構造物性解析の側面では、申請者が所有する装置や技術では不可能な構造と物性の解析を、先方の設備と技術を利用して行うことを目的とする。具体的には、申請者単独ではアクセスできないシンクロトロンや原子炉の施設を用いた構造解析実験や、先方からの技術提供による非常に高度なデータ解析技術を行う。先方に設置してある様々な条件下で測定可能なX線小角散乱、原子炉型の中性子小角散乱装置(現在、日本では東日本大震災の影響で稼働停止しており利用できない)、シンクロトロン型X線小角散乱を利用する。さらに、先方の研究グループに所属する粘弾性測定の専門家であるE. Paineau博士とともに、先進的な粘弾性測定を行う。 無機ナノシート材料の多様化の側面では、先方の研究所で開発された層状アンチモンリン酸(Nature 2001)などの合成やナノシートの精製法などについて技術提供を受けて、本研究で利用可能な新たなナノシート試料を合成することを目的とする。この多様化によって、基研究を行うためのマテリアルの選択肢を増やし、また材料としての応用を行う際の物性最適化が容易になるものと期待される。 理論的側面では、ナノシート間の相互作用に対してDNAがどのように影響を及ぼし、そのメカニズムや理論的背景が何であるかを明らかにすることが目的となる。DNAの電荷、DNAの剛直高分子としての特性(排除体積効果など)、DNAの配列特異的な相互作用や特性が、ナノシートコロイドにどのようにして影響を与えるのかについて、緊密なディスカッションを行いながら、理論的背景やメカニズムを明らかにしていく。
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Research Products
(4 results)