2016 Fiscal Year Research-status Report
乱流パフの個性とその生存率における出生の影響(国際共同研究強化)
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15KK0219
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
田坂 裕司 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (00419946)
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Project Period (FY) |
2016 – 2017
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Keywords | 乱流遷移 / 亜臨界不安定 / 液体金属 / 交流磁場 |
Outline of Annual Research Achievements |
管内流れの亜臨界不安定問題を中心に,乱流遷移の本質に迫る実験研究の国際的な展開である. 平成28年度は,イギリス・マンチェスター大学のTom Mullin教授(現オックスフォード大学)から譲り受けた管内流装置をくみ上げるとともに,これまでに制作した別の装置をもしいて(1)注入した攪乱の異なる発展過程に関する実験,(2)微細気泡が局所乱流塊の生成とその安定性に及ぼす効果の実験および数値シミュレーションによる検証,および(3)シンセティックジェットアクチュエータ(SJA)によりヘアピン渦列を管内流れに形成させた場合の遷移過程の可視化計測を行った.その結果として,(1)ではレーザードップラ流速計を用いた中心速度変動計測から,速度欠損と速度変動強の空間変化を算出し,異なる遷移の過程を数値的に表すことに成功した.(2)について,一様に分散させた微細気泡が局所乱流塊を通過する際に構造化する様子を気泡の運動方程式を用いた数値計算により評価した.(3)に関連して,SJAの装置をフランス・Le Havre大学で行っている度急拡大管流れの亜臨界遷移実験に導入し,インターンシップで本学から派遣した学生により遷移の制御実験を行った.それらの結果は同大学のPeixinho博士により欧州乱流会議(ETC2017)で発表される予定である. 一方で,申請者はドイツのヘルムホルツセンター(HZDR)に滞在し,液体金属を用いた基礎実験を行った.液体金属層中を伝播する局在構造に関する解析を共同で行い,論文投稿にこぎ着けた.また,予定していなかったテーマの実施として,交流磁場が誘起する流れについて実験研究を行い,大気の2次元乱流場などで見られる逆乱流カスケード状態をこの系においても見いだすとともに,液体金属層中に形成される大規模乱流構造の振る舞いを計測した.これらの成果についてもETC2017で発表する予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)予定していた装置の制作を実行し,次年度への実験実施につなげることができた. (2)SJAを用いた実験を実施するとともに,フランス・Le Havre大学の異なる体系での実験にも導入することで比較検討可能な実験プランとなった.また,平成29年度に同大学に滞在して共同実験を行う下準備が完了した. (3)希薄分散相が局所乱流塊の形成に与える影響について,仮説を実証する結果が得られた. (4)液体金属を用いた実験の成果を論文にまとめることができた. (5)事前に予定していた研究ではないが,交流磁場を用いて液体金属層中に誘起される乱流の実験研究を行い,興味深い発見があった.
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は,管内流れの亜臨界遷移について,特に(1)異なる遷移課程について,および(2)微細分散気泡が遷移課程に与える影響について,それぞれ得られた成果を論文にまとめ,英文誌に投稿する予定である.同時に,本学とLe Havre大学(平成29年度4月末より滞在予定)においてSJAを用いた実験研究を本格的に実施し,亜臨界遷移における最適攪乱についての仮説を実証する.また,HZDRに再度短期滞在し,今後の国際共同研究のプランニングと交流磁場により誘起される乱流,および液体金属層中の熱対流に関する成果のまとめについて討論する.
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Research Products
(3 results)