2017 Fiscal Year Research-status Report
タンパク質輸送を制御する -場の環境変化を利用した膜による能動制御-(国際共同研究強化)
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15KK0227
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小宮 敦樹 東北大学, 流体科学研究所, 准教授 (60371142)
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Project Period (FY) |
2016 – 2018
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Keywords | タンパク質 / 物質移動 / 物質流束 / 機能性膜 |
Outline of Annual Research Achievements |
交付申請書に記載した研究実施計画では,平成30年2月中旬より渡航を開始することになっていたが,移設する予定の簡易実験装置の準備に時間を要し,3月3日より渡航を開始した.今年度は主として日本滞在時に,基課題研究課題で得た実験結果を整理し,周囲環境条件として定義してきた温度条件やpH条件等がタンパク質拡散現象にどのような影響を及ぼすかについて,渡航先の研究者とSkype等を通して複数回議論した.なお,交付申請書では渡航先の主な共同研究者をJean-Yves Cavaille教授としていたが,今後はポリマー製作レベルで多くの議論を進めていくことから,製作に関してより知見を有している同研究グループのAssistant Professor Sebastien Livi氏に変更し,Cavaille教授には定期的な議論にのみ加わってもらうこととなった.これらの議論の結果から,フランス側から提供を受ける機能性透過膜の仕様を決定し,渡航時にはこれらの膜を用いて実験を進めていくこととなった.滞在前に一度渡仏し,フランス側での観察実験がどの程度まで可能か確認を行い,装置の移設準備を進めた.平成30年3月3日より渡航を開始し,本年度末までにフランス側の研究室に小型位相シフト干渉計をくみ上げ,観察実験の準備を整えた.なお,本装置に関しては基課題研究で使用したものを一部そのまま利用し,本研究課題で購入計画をしていた光学装置は購入しないことで,経費の有効利用に努めている.装置立ち上げにおいては,得られる実験データの信頼性評価が必須となる.本年度は提供を受ける機能性透過膜を使用しての観察実験に先立ち,文献値が豊富である塩化ナトリウムおよびリゾチームの自由拡散における物質拡散係数を導出し,文献値との比較を行うことで簡易実験装置の性能評価を行った.これにより実験の準備が整った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画から半月ほど遅れての渡航開始となったのは事実であるが,日本滞在時に基課題研究における研究にて取得した多くの実験データを整理し,問題点・議論点を纏め上げた状態で渡航先研究者と複数回遠隔会議を行ったため,遠隔会議は効率的に進行することができ,渡航前にフランス側での実験開始に向けた手順を明確にすることできた.結果として,渡航後の研究活動を速やかに進めることができた.また,第一期渡航時において行うべき観察実験のパラメータは決まっており,その実験に向けた環境の整備,特に実験装置の妥当性評価まで今年度内に終えることができたのは,大きな進展であるといえる.以上の理由により,本年度の進捗状況は「おおむね順調に進展している」と判断できる.
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Strategy for Future Research Activity |
相手先への滞在が始まったことから,計画しているタンパク質拡散場の観察実験実施に集中する.提供を受ける機能性透過膜の仕様は決まっていることから,観察実験の進捗度合が律速にならないように努める.交付申請書では二期間に亘って計6か月間の渡航となっているが,秋季の4か月間の渡航(平成30年10月初め~平成30年1月末)においては,場合によって前期と後期に分けることも検討する.これは,第二期期間中に得られる実験結果次第では,機能性透過膜の仕様を再検討する必要があるためである.実験データの解析にはある程度の時間を要し,また場合によっては詳細な高精度観察実験を行う必要があることから,日本側の装置を利用することも選択肢として考えておく.透過膜の仕様変更が生じる場合は,渡航期間を柔軟に変更することも常に考えた上で研究を推進する. また,昨年度に引き続き,海外共同研究者との国際共同研究を組織的に行えるように定期的な研究コミュニティの開催を行い,研究結果・成果の共有化を図る.具体的には個人同時の打ち合わせではなく,フランス側の研究グループと情報を共有することで,研究の推進を図っていく.
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Research Products
(2 results)