2017 Fiscal Year Research-status Report
細胞間接着を導くジッパー状分子の創製と細胞間相互作用の時空間的解析手法の確立(国際共同研究強化)
Project/Area Number |
15KK0230
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
寺村 裕治 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (10365421)
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Project Period (FY) |
2016 – 2019
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Keywords | 腎移植 / 細胞表面修飾 / PEG脂質 / 虚血再灌流障害 / 凝固系 / 補体系 |
Outline of Annual Research Achievements |
腎臓を患者へ移植した直後では、凝固反応や自然免疫が活性されるため、血管内皮細胞が傷害を受けることが知られている。これら一連の反応は、虚血再灌流傷害の原因の一つである。本研究では、血管内皮細胞の表面を、PEG脂質や様々な生理活性物質でコーティングすることで、虚血再灌流傷害の抑制を試みる。このことにより、生着率が向上し、移植成績が大きく改善することが期待できるためである。特に、国際共同研究を通して、大動物であるブタの腎移植モデルを用いて、その評価を行った。 ブタ腎臓に注入されたPEG脂質は、腎臓内のほぼ全ての血管内皮細胞の表面に導入されており、一様に血管内皮がコーティングできていることが分かった。血管内皮のみならず実質組織内へのコーティングも見られた。PEG脂質で処理したブタ腎臓を移植した後のブタレシピエントから血液サンプリングを行い、免疫学的な分析を行ったところ、補体系や凝固系のパラメーターが、コントロール群(無処理)のレシピエントと比較して、低い値を示してしたことが分かった。サイトカインの値も低値を示したことから、PEG脂質によるコーティングにより、凝固系や補体系の活性化が抑制されていることが示された、また、PEG脂質によるコーティングのみならず、生理活性物質としてCD39と同じ機能を持つアピラーゼの固定化も検討した。ここでは、ブタの腎臓のみを用いて、ブタ血管内皮に固定化できるのかを検討した。ブタ全血を注入したところ、無処理の腎臓と比較して、血小板数の減少する速度が遅くなったことから、PEG脂質によるコーティングよりも効果的な修飾法であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大型動物であるブタを用いた腎移植モデルの作成からin vivoとex vivo評価まで行うことができ、研究は概ね順調に進んでいる。切片や血液などの免疫学的な解析も概ね順調に進んでいる
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Strategy for Future Research Activity |
ブタを用いた腎移植実験は終了したが、切片や血液などの免疫学的な解析がまだ残っているためにで、今後、詳細な解析を進める
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Research Products
(4 results)