2017 Fiscal Year Research-status Report
電気化学を用いた三次元細胞組織の構築(国際共同研究強化)
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15KK0232
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
福田 淳二 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 教授 (80431675)
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Project Period (FY) |
2016 – 2018
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Keywords | マイクロ流路 / 血管新生 / 電気化学細胞脱離 |
Outline of Annual Research Achievements |
渡航先研究機関(ミラノ工科大)のProf. Gabriele Dubiniの研究室は、精密に流体の流れを制御した環境下で、血管新生のメカニズム解明や血管新生と他の種類の細胞との相互作用を解析している。独自の実験系および解析系を有するのみならず、医学や工学、生物学の様々なバックグランドを持つ研究者が集まっており、また海外を含めた様々な研究者と共同研究を実施しているという特徴がある。本研究では、この研究室に滞在し、実際に実験技術を共有することで、当初の研究計画が達成されつつあり、またさらにそこから派生した様々な研究テーマや人的なネットワークが生まれている。 まず、渡航先研究室では、マイクロフルイディクス技術に研究代表者の電気化学細胞脱離技術を組み合わせることで、マイクロ流路内で細胞を選別し、さらにその後、電気化学的に回収する技術を確立した。この時、マイクロ流路内の層流が細胞接触頻度の低下につながることから、マイクロ流路内に特殊な構造体を導入することで、流れを制御した。シミュレーションおよび実験において、この流れの制御が細胞の選別・脱離に有用であることを示した。当該研究費による滞在によって、これまでに計3報の共同執筆論文がアクセプトされている。 また、渡航先研究機関での共同研究によって、人的ネットワークがスイス、米国、韓国、オーストラリアにさらに広がった。現在の研究成果のみならず、人的なネットワークは今後につながることから関係を拡張して維持していきたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究代表者らの有する電気化学細胞脱離技術をミラノ工科大の滞在研究室にインストールすることに成功し、研究計画書に記載の通り血管様構造を作製するとともに血管新生の評価を実施した。また、マイクロ流路への適用も可能であることが分かり、国際共著論文3報につながっていることから、研究は順調に進んでいると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
作製した血管様構造を肝臓や骨などの血管構造を必要とする臓器、組織へと展開することが今後の目標である。特に、血管構造を導入した骨組織の構築は、滞在研究室で協働した研究者がスイスにある病院付属研究所に新たな研究室を設置することとなり、そこでの共同研究へと発展したことから、当該助成事業においても新たな滞在先として申請した。同様に、滞在研究室を起点として、他に米国、韓国、オーストラリアに人的ネットワークが広がったことから、新たな滞在先研究室として申請し、承認された。そこで、それぞれの研究室に滞在し、研究代表者の持つ電気化学細胞脱離やこれを利用した血管様構造の構築技術と、滞在先研究室の技術を融合し、新しい研究プロジェクトへと展開する予定である。さらに、海外の助成金申請の誘いを受けていることから、今後さらに継続的に関係を強化・発展させていきたいと考えている。
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Research Products
(1 results)