2016 Fiscal Year Research-status Report
バイラメラ空間内脱水酵素反応を利用した炭酸カルシウム中空ナノ粒子の気泡塔合成(国際共同研究強化)
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15KK0241
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
吉本 誠 山口大学, 創成科学研究科, 准教授 (80322246)
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Project Period (FY) |
2016 – 2018
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Keywords | リポソーム / 固定化酵素 / 炭酸脱水酵素 |
Outline of Annual Research Achievements |
炭酸脱水酵素 (CA) により高効率に触媒される二酸化炭素水和反応を応用して,炭酸カルシウム粒子を生成させるプロセスを構築するために,脂質二分子膜から形成される閉鎖小胞体(リポソーム)を用いてCA分子の安定性と活性を制御する。平成28年度は,CAを固定化する際の酵素分子内のアミノ基の反応性について,脂質膜への固定化挙動に基づいて明らかにするとともに,遊離状態のCAを封入したリポソームの調製と触媒活性を含む特性について重点的に検討した。また,共同研究先に約3週間滞在して,固定化酵素の調製法やリポソーム内への酵素の封入に関する研究の打ち合わせを行った。具体的には,CAをリポソーム表面のカルボキシ基に共有結合させる反応の特徴を検討した結果,CA分子は高効率に固定化されるが,固定化後の酵素活性は脂質膜表面における酵素分子の配向性に強く依存する可能性が示された。この知見は,酵素の固定化に用いる担体の構造や荷電状態が酵素活性に影響を及ぼすことを示しており,今後,高活性な固定化酵素を調製するために重要となる。また,水和・凍結融解・押出し法とゲルクロマトグラフィー分離により,単分散かつ液本体のCA分子が分離除去された酵素封入リポソームの懸濁液を調製した。さらに,従来の研究においてCA活性の測定に広く用いられてきた基質分子は,著しく高い脂質膜透過性を示すことを明らかにした。平成29年度は,上述の知見を踏まえて,固定化CAとリポソーム系を複合化させた触媒の調製と活性に関する検討を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
炭酸脱水酵素の固定化に伴う酵素活性の変化及び遊離酵素を内包させたリポソームの調製について検討を行っており,平成29年度以降,固定化炭酸脱水酵素とリポソームの複合系に展開するために不可欠な基礎的知見が得られていることから,おおむね順調に進展しているとした。
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Strategy for Future Research Activity |
活性をもつ炭酸脱水酵素を構造制御された担体に固定化して,さらにリポソーム内の微小水相に閉じ込める。得られるリポソーム内封入酵素系の安定性と活性を明らかにする。また,リポソーム系の酵素反応により触媒される炭酸カルシウム粒子の生成に関する検討を行う。
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