2017 Fiscal Year Research-status Report
バイラメラ空間内脱水酵素反応を利用した炭酸カルシウム中空ナノ粒子の気泡塔合成(国際共同研究強化)
Project/Area Number |
15KK0241
|
Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
吉本 誠 山口大学, 大学院創成科学研究科, 准教授 (80322246)
|
Project Period (FY) |
2016 – 2018
|
Keywords | リポソーム / 固定化酵素 / 炭酸脱水酵素 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は,酵素への結合部位や荷電基密度をはじめとした諸性質が精密に制御された担体と複合化させた炭酸脱水酵素の調製と特性評価及び応用に関する研究を実施した。まず,炭酸脱水酵素の特性を考慮した複合体の最適調製条件の検討を行った。調製過程における最大の問題点は,複雑な表面電荷分布をもつ酵素分子同士が凝集体を形成することであったが,これがほぼ完全に抑制される調製条件を明らかにした。これにより,安定的な酵素-担体複合体の調製と長期保存が可能となり,複合体を利用した様々な実験が可能となった。また,担体に固定化された酵素分子数,そのうち活性をもつ酵素のみかけの割合等の諸特性を明らかにした。なお,得られた複合体のサイズを考慮すると,リポソームとの複合化においては当初予定していたリポソームの内水相ではなく外表面を利用することにより,より効果的で幅広い酵素の機能制御が可能となると判断された。このため,29年度は,リポソーム系への展開を考慮して,固体表面上における複合体の触媒活性の安定性やモデル基質を用いた際の反応特性を詳細に検討した。ここでは,荷電した固体表面へ酵素-担体複合体を吸着法により固定化させた。遊離炭酸脱水酵素を用いて同様の条件下で固定化処理を行った場合と比べて,複合体を固定化させた系で得られる触媒活性が著しく異なることを明らかにした。また,実用性を考慮して,反応系の設計・開発や触媒活性に及ぼす反応操作条件の効果を幅広く検討することにより,固定化炭酸脱水酵素としての有用性を示した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
触媒活性をもち,長期保存が可能な炭酸脱水酵素-担体複合体を最適調製して,その諸特性を明らかにするとともに,電荷をもつ固体表面への固定化と応用についても広範に検討できたことから,おおむね順調に進展しているとした。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成29年度に調製した炭酸脱水酵素-担体複合体は,固体表面あるいは固体表面と脂質膜を利用して機能制御する。このため,リポソームと炭酸脱水酵素-担体複合体を混合あるいは固定化させた系の構築と触媒活性や安定性について検討する。
|