2017 Fiscal Year Research-status Report
ウイルスの多種類同時検出を可能にする迅速DNA検査法の開発(国際共同研究強化)
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15KK0242
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
中野 道彦 九州大学, システム情報科学研究院, 准教授 (00447856)
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Project Period (FY) |
2016 – 2018
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Keywords | DNA検出 / 薬剤耐性細菌 / 等温核酸増幅反応 / 誘電泳動 / 微粒子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、基課題によって開発した微粒子誘電泳動を用いたDNA検出法の応用として、等温遺伝子増幅法と組み合わせて、薬剤耐性細菌を検出することを試みた。 これまでは、温度変化(95度から50度)によってDNA増幅反応を連鎖的に行うPCR(polymerase chain reaction)という手法を用いていたが、より簡便に行うために、一定温度で遺伝子増幅反応を行うことが可能な手法と組み合わせることを試みた。そのため、渡航先研究者と共同して、等温増幅反応中に増幅DNAを微粒子へ結合する手法を考案し、その有効性を薬剤耐性細菌を対象に実証した。ここで薬剤耐性細菌とは、抗生物質によってコントロール出来ていた細菌が、その抗生物質への耐性を獲得したもののことを言い、近年、院内感染などでその問題が大きくなっている。薬剤耐性細菌の高感度かつ迅速な検出法は、安全・安心社会の実現のために必要不可欠な技術の一つである。 本研究で考案した手法を薬剤耐性細菌に対して実施したところ、数コピーの薬剤耐性細菌の遺伝子を20分程度で検出できることを示した。また、10^5コピー程度まで定量的に測定できることも示した。微粒子誘電泳動を用いたDNA検出法に等温増幅反応を用いることができるようになったことで、本研究による手法のデバイス化がより実現に近づいたと考えている。 本渡航においては、誘電泳動に関係した研究者とのネットワーク形成も行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り渡航を行い、予定の期間で一定の研究成果を得た。研究成果は国際共著論文として投稿する予定である。その研究成果とは、これまで行っていなかった等温増幅法を自らの手法に取り入れたこと、海外共同研究者とその組み合わせのための新しい手法を考案したこと、そして、それらによって高感度かつ短時間に遺伝子検出が行えることを示したことである。
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Strategy for Future Research Activity |
共同研究の内、渡航して実施する部分に関しては終了した。今後は、その結果をもとにさらに研究を発展させていく予定である。具体的には、これまでに得られた知見をもとに遺伝子検査のデバイスを作製すること、海外共同研究が提示する新たなターゲットに対する検出可能性の評価に加えて、DNA結合微粒子誘電泳動の物理現象の解明である。
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Research Products
(4 results)