2017 Fiscal Year Annual Research Report
A new anisotropic nanofiber/polymer composite made of different polymers for the AB-different polymer blending(Fostering Joint International Research)
Project/Area Number |
15KK0244
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
堀田 篤 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 教授 (30407142)
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Project Period (FY) |
2016 – 2017
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Keywords | 複合材料 / コンポジット / ファイバ / エレクトロスピニング |
Outline of Annual Research Achievements |
ポリマの機械的な複合則と化学的な相溶相分離則という、対象スケールの違うアプローチを融合し、実験的に、1次元ナノ分散材を用いたナノ複合材料に適用できる中間スケールの新しい複合化プロセスを研究することが本研究の目的である。相溶相分離させたポリマ複合材料と、機械的に複合化したポリマ複合材料との主な相違点は、後者では分散材と母材の界面に空隙が生じる点であろう。そこで、比較実験のためには、機械的複合化に際して相性の良い母材と分散材を選定し、空隙の発生を抑制した複合材料を作製することが重要である。 本研究では、母材にポリ乳酸(PLA)、そしてナノ分散材には、母材のPLAと同種でありながらPLAより強度の高いステレオコンプレックス結晶を有するPLA(sc-PLA)を選定した。高電圧によりポリマ溶液を紡糸するエレクトロスピニング(ES)法の条件を最適化することにより、平均直径400 nm以下のsc-PLAのナノファイバを作製し、PLA母材に複合化した。 一般的な複合材料は、母材と分散材との界面の空隙で光が散乱し白濁するのに対し、本研究で作製できたPLA複合材料は高い透明性を示した。また、PLA複合材料の力学特性においては、室温での弾性率は複合化していないPLAの120%まで向上し、80℃での弾性率は20倍にまで向上した。さらに、PLA複合材料の構造解析を実施したところ、ナノスケールのsc-PLAの結晶が分散材中に存在していることが分かり、そのためにPLA複合材料は高い透明度を維持しつつも力学物性が向上したと考えられる。以上より、作製したPLA複合材料は、相溶相分離型ポリマ複合材料と同様に、界面空隙がほぼ存在しないポリマ複合材料であった可能性が高い。これにより今後、相溶相分離を生じるPLAのブロック共重合体を作製し、本研究で作製したPLA複合材料と構造・物性を比較する研究への発展も期待される。
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Research Products
(5 results)